あたりまえって、一蹴しないで

 きみのことばを、もう、これっぽっちも信じられなくなったので、にどと夜空に一番星は輝かない。
 なみだが星に生まれかわりたいって泣いてる。塩からいってきらうくせに海はすきなのねと叫んでる。なみだの、声に、そういうひとほど、気づいてない。
 たったひとつ。たったひとつだったね、すきだよ、それだけ、たったひとつで、すべてだった。
 不変、はなくって、地球も、海も、いのちを日々燃やしてる。太陽みたいに、目に、みえなくっても。星も、あの輝きは、きれいなんじゃなくって、切実なんだ。
 ことばを、こぼす、しずかな痛みと獰猛なせつなさを、きみが味わっていた傷つく感触ひとつひとつをいま、全霊で、思い知る。
 でももう走りだせない。夜、暗くって、こわい。

あたりまえって、一蹴しないで

あたりまえって、一蹴しないで

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-04-18

CC BY-NC-ND
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