あさ
目がさめたときにはすでに雨が降っていました。網戸には水滴がついていて、世界は歪んで見えました。窓を開けると土の匂いとともに、雨粒がさらさらとわたしの頬に降りかかりました。
「コーヒーでも飲もうか」
と父が言ったので、わたしが窓を閉めると、雨の音はしとやかに遠ざかりました。ブルーベリーの小さな葉は雨粒をのせ、その足元にはさらに小さないくつもの白い花が眠っていました。庭のバケツは雨水で溢れ、踊るように水滴が降り注いでいます。
雨よけの下をみると、シジュウカラがとまっていました。そこで雨宿りしていればいいのよ、とこころの中でささやくと、わたしの視線に気がついた鳥は、雨の中へ飛び立ってしまいました。ああ、と思いながら、わたしはコーヒーに牛乳をたっぷりといれました。
あさ