我ら、ネバーギ部アップ!第2話『お花見は切なさと共に』

夜御伽アウル

女子高生4人による
甘くて
綺麗で
切なくて
思い切り笑う
そんなお花見のお話。

我ら、ネバーギ部アップ!第2話『お花見は切なさと共に』

配役表(0:4:0)
柊 実紅(ひいらぎ みく)
元気いっぱい高校1年生おバカ。だがいざと言う時の閃き力に長けている。
紺野 聖奈(こんの せな)
クールな高校1年生成績優秀。真面目で美人。
水神 杏樹(みかみ あんじゅ)
穏やかな高校1年生実紅の幼なじみ。家はお金持ち、そして天然。
桃生 花連(ものう かれん)
ツンデレ高校1年生不器用でツンツンしてしまうが故に、中々友達が出来ない。

セリフ数
実紅→49
杏樹→45
花連→44
聖奈→79

我ら、ネバーギ部アップ!第2話『お花見は切なさと共に』/夜御伽アウル 作
https://slib.net/98641
柊 実紅:
水神 杏樹:
桃生 花連:
紺野 聖奈:
(演者敬称略)

______↓ここから台本↓______

聖奈「…お花見?」
杏樹「らしいですよ?」
聖奈「まあ、まだ桜は咲いているけど…」
杏樹「学校の桜に頼らなくても、桜なら家の庭に咲いているから大丈夫よ。」
聖奈「…なら、菜々村先生には何と伝えたら良いかしら。」
杏樹「そうねぇ…。親睦会、なんて言うのはどう?」
聖奈「親睦会…」
杏樹「あながち、間違いじゃないでしょう?」
聖奈「確かに。」
杏樹「なら、決定ね!」
聖奈「分かった。菜々村先生には、私から伝えておきましょう。」
杏樹「お願いしまーす!」
聖奈「…ところで。」
杏樹「ん?」
聖奈「柊さんと桃生さんは?四限の終わるチャイムの後から、姿を見かけないけど…食堂派なの?」
杏樹「ううん。2人とも、戦いに行ったわ。」
聖奈「…戦い?」
杏樹「えぇ。購買の惣菜パンをめぐる戦いに……」
実紅「ただいまーっ!」
杏樹「あらぁ、おかえり~」
花連「疲れたー…」
聖奈「戦いには勝てた?」
実紅「うん!大勝利っ!」
聖奈「そう、良かったわね。」
花連「あたしはギリギリ…柊さんが足速いのなんの…」
実紅「もうっ!柊さんじゃなくて、実紅でしょ!」
花連「あー分かった分かった。ミークーチャーンー」
実紅「棒読み!?」
杏樹「無事にお昼ご飯をゲット出来たなら良かった~。せっかくだから4人で食べましょう?今、委員長さんにお花見の話をしてたの。」
実紅「あっ、そうなんだよ!お花見しようお花見!」
聖奈「えぇ、それは構わないけれど…いつ、どこでお花見をするの?」
杏樹「せっかくだから、うちで…」
実紅「学校!」
花連「あたしは別にどこでもいいけど…」
杏樹「どうして学校?」
実紅「んー?だって入学したばっかりだし、その方が部活っぽいし!」
聖奈「部活っぽい、と言えば頷けるわね。じゃあ、明日の放課後の活動でお花見。ということで良いかしら?」
実紅「さんせーい!」
花連「さんせー」
杏樹「私も、それで構わないわ」
聖奈「分かったわ。どこでやるか決めないと…」
実紅「それも、もう決めてあるんだ!」
聖奈「そうなの?」
実紅「うん!この間休み時間にお散歩してた時に見つけたの!」
聖奈「じゃあ、そこで。」
杏樹「私は、ティーセットとお菓子を用意するわね。」
花連「じゃ、じゃああたしもお菓子を…」
実紅「せっかくなら、みんなで少しずつ何か持ち寄ろうよ!どう思う?委員長。」
聖奈「良いと思うわ。1日あれば用意できると思うし。」
花連「委員長とか手の込んだもの用意しそう…」
聖奈「そんな事ないわ…!特別器用な訳でもないし…。」
実紅「いいねいいね。楽しみ!ね、委員長!」
聖奈「……そうね。」



杏樹M「それから数時間後の帰り道です~」



聖奈「…はぁ。委員長、か。」
花連「…何が?」
聖奈「っ!…桃生さん」
花連「委員長がどうかしたの?」
聖奈「い、いや…別に。」
花連「自分だけ名前で呼ばれなくて寂しい、とか?」
聖奈「…っ」
花連「言えば良いんじゃないの?私も名前で呼んでーって。」
聖奈「そんなの、いちいち気にしてるって思われるのは」
花連「(被せ気味に)気にしないよ。」
聖奈「…なんで、そう言えるの」
花連「私も、こないだまでそう思ってたからかな。」
聖奈「…何かあったの?」
花連「ほら、登校初日の事。覚えてる?」
聖奈「あぁ、部を設立した日」
花連「そ。あの日まであたしは、友達の形式に囚われてたせいで勝手に壁を作ってた。けど、あの二人が…実紅がその壁を壊してくれたから。」
聖奈「今、名前…」
花連「あっ…、本人には言わないでよ!?絶対調子に乗るから…っ」
聖奈「…ふふっ。」
花連「あの二人はホントに気にしてないよ。お花見の時言ったら良いじゃん。」
聖奈「…そう、ね。頑張ってみる」
花連「いつまでも言わなかったら、代わりに言うからね?」
聖奈「それは…っ!」
花連「恥ずかしいでしょ?んじゃ、頑張って」
聖奈「あ、桃生さ……行っちゃった。」

聖奈M「『委員長』と呼ばれる事が嫌な訳じゃない。クラスメートも、委員長と呼んでくる人は少なからずいる。たかが名前と思われるかもしれない。だけど…勉強して帰るだけだと思っていた学校生活が、少しだけ楽しいと思えるようになった。それは言うまでもなく、3人の…ネバーギ部アップのおかげだと思ってる。だからこそ、もっと仲良くなりたい。もっと距離を縮めたい。その為には、どうしたら良いんだろう…。」



実紅M「お花見当日っ!」



聖奈「みんな、各々お菓子は用意できた?」
実紅「バッチリだよ!」
花連「まあ、それなりに。」
杏樹「私も大丈夫よ~」
聖奈「良かった。…それにしても。まさか学校の中庭に、こんなに大きな桜の木があるなんて知らなかったわ…。」
実紅「ここ、あんまり通らないもんね。私も見つけた時はびっくりしたよ!」
杏樹「綺麗な桜…お花見にピッタリ。流石実紅ちゃん!」
実紅「えへへー!」
花連「ところで、みんなはそれぞれ何を持ってきたの?」
実紅「よくぞ聞いてくれましたっ!私はこれだよ、じゃーんっ!」
聖奈「…これは」
実紅「桜をイメージして作ったパウンドケーキだよ!」
花連「え、すごっ!」
杏樹「実紅ちゃんのお家は、ケーキ屋さんなのよ~」
実紅「小さい頃から、お菓子作るの好きなんだー!」
花連「へぇー…普通に意外」
実紅「どーゆーこと!?」
聖奈「桃生さんは、何を用意したの?」
花連「あたしは大したことないけど…クッキー焼いてきた。」
杏樹「あら!可愛い。桜の形してる」
花連「この方が、春っぽいかなって…」
聖奈「素敵だと思うわ」
実紅「(食べながら)しかも美味しいよ!」
花連「ちょっ、勝手に食べるなー!」
実紅「ごーめーんー!」
聖奈「ふふっ」
実紅「杏樹ちゃんは?」
杏樹「私は、フルーツティーを作ってきたわ。ティーセットもちゃんとあるから、安心してね。」
花連「すご…めっちゃフルーツ入ってる…。」
聖奈「良い香り…!」
杏樹「飲み物はなかなかいないかなと思って、沢山用意したわ。」
実紅「わーいっ!」
聖奈「ありがとう、水神さん。」
杏樹「いえいえ。…ところで、委員長さんは?」
聖奈「あっ、私は…」実紅「何かな何かな?」
聖奈「えっと…時間なくて、市販のお菓子を買ってきたの。作れなくて、ごめんなさい。」
実紅「そうなんだ!全然良いよ!無理に用意して欲しいわけじゃないし。」
杏樹「忙しそうだものね」
聖奈「えぇ。…そうね」
花連「…。」
実紅「んじゃあ、乾杯しますかー!」
杏樹「そうね!フルーツティーをいれるから、少し待っててね。」
実紅「楽しみ!ね、花連!」
花連「っあぁもう!すぐに抱きつくなー!」
実紅「委員長も、楽しみだよねっ?」
聖奈「え、えぇ…!」

杏樹「あら?これ…」



花連M「お花見開始だってさ。」



聖奈「…綺麗」
杏樹「本当に」
聖奈「わ…っ!水神さんっ」
杏樹「ふふっ、委員長さんの桜を見上げる横顔がとても綺麗だったから。」
聖奈「そ、そんなに見られたら恥ずかしいわ…!それに、美人なんかじゃないし」
杏樹「ふーん…。委員長さんって、謙遜してばかりね。」
聖奈「謙遜、というか…事実だから。」
杏樹「いいえ?そこまで端正な顔立ちをしていたら、素直に称賛を受け取っても良いと思うの。」
聖奈「…生まれ持つ顔なんて、才能でも何でもないわ。自分の努力で身に着けた才能が欲しいの。私は柊さんのように明るくもないし、器用にお菓子も作れないし。桃生さんのように気の利いた言葉もかけられない。」
杏樹「…それで、出すのを辞めたのね。そのお菓子」
(聖奈、持っていたタッパーを慌てて隠す)
聖奈「や、これは…っ!」
杏樹「どうして?実紅ちゃんは実紅ちゃんよ。委員長さんは委員長さんじゃない。恥ずかしがる必要なんて無い。それにその手の傷…努力の証と言わないでなんと言うの?」
聖奈「…上手く出来なかったから。」
杏樹「上手く出来なくちゃ、ダメ?」
聖奈「私は、自分の外見と態度のせいで何でも出来ると思われてきた。でも、本当はそんな事ない。勉強だって分からないところがあれば必死に復習して、運動だって苦手で、友達なんてもっと無理だと思ってた。」
杏樹「…うん。」
聖奈「でも、偶然にもネバーギ部アップに誘ってもらえて…学校は勉強だけする場所じゃないって、そう思えた。毎日、放課後が少し楽しみになったの。」


聖奈M「気付けば、らしくもなく気持ちを吐き出している自分がいた。水神さんは、穏やかな笑みを浮かべて相槌を打っていた。その相槌が心地よくて、同時に不器用な自分を痛感してしまって胸が苦しかった。不意に流してしまった涙が、それを目に見える形で物語っていた。」


花連「…(呟くように)いつ言うのかなって思ってたけど、ちゃんと言えるじゃん。自分の気持ち。」
聖奈「私は…もっとみんなと、仲良くなりたい!」
杏樹「えぇ。」
聖奈「もっと、自分に正直になりたい!」
実紅「なれるよ!」
聖奈「っ!?」
杏樹「えぇ、なれるわ!」
花連「あたしたちだって、同じ気持ちだし。」
聖奈「柊さん…水神さん…桃生さん…。」
実紅「ごめんね?盗み聞きみたいになっちゃって。」
聖奈「いや、そんなこと…っ!」
実紅「ネバーギ部アップに入った時から、もう仲間だよ!仲間になったなら、もっともっと仲良くなれるよ!」
杏樹「だから、ほらっ!」
聖奈「あっ…!」
実紅「おぉ!?これなに?」
杏樹「委員長さんの用意したものよ!中身は…」
聖奈「い、一応…アップルパイを作ったの…上手くは、出来なかったけど。」
実紅「アップルパイ!いいねいいねぇ!いただきまーすっ!」
花連「あ、あたしも1つもーらいっ」
杏樹「私も頂くわね!」
聖奈「……どう?」
実紅「んー…まあまあかな!」
聖奈「う゛…っ」
実紅「どうして落ち込むの?今度みんなでアップルパイを作りたいって思える、優しい味だよ!努力の味がする!」
聖奈「…努力の、味?」
実紅「うん!お菓子にはね、作った人の気持ちが現れるの。このアップルパイからは、不安と、努力と、優しさの味がする。」
聖奈「…良かった。」
花連「美味しいじゃん。サクサク感には欠けるけど、隠すほどでもなくない?」
聖奈「上手ではないかなって、思ったから…」
花連「ふーん?隠すのは1つじゃありませんよってわけだ?」
聖奈「…それはっ」
花連「実紅ー!杏樹ー!ちょっと聞いて!」
実紅「なになにー?」
杏樹「どうしたの?」
花連「…聖奈がさー」
聖奈「っ!」
実紅「おぉ!?いつの間に名前で呼ぶようになったの?ずるいずるい、私だって聖奈っちって呼ぶ!」
杏樹「聖奈さん…聖奈さん。うん、さっきよりもグッと距離が縮まった感じがする!」
聖奈「……名前。」
実紅「それで?聖奈っちがどうしたの?」
花連「(聖奈を見てニヤッと笑いながら)言いたいことがあるんだってさ?」
実紅「ほう!なんだろ?」
杏樹「どうしたの?聖奈さん。」
聖奈「あ、えっと…そ、その…私も」
実紅「私も?」
聖奈「…名前、呼んでも…良い?」
実紅・杏樹「「…(2人で顔を見合わせ、満面の笑みで)もちろん!」」
花連「ほら。」
聖奈「ありがとう…!」
実紅「むしろ呼んでみてよーほらほらー!」
杏樹「わくわくするね、実紅ちゃん!」
聖奈「そんな、急にっ…!」
花連「(呟くように)…ふぅ。一件落着、っと」
実紅「あ、花連が名前で呼んでくれたのもちゃーんと分かってるからねー?」
花連「それは今すぐに忘れてっ!」
実紅「えぇー?嬉しかったのになぁ」
聖奈「そういえば、本人がいない所では名前で呼んでいたわね。」
花連「なっ…それは!」
実紅「ほほう?それは詳しくお話を聞く必要がありそうですなぁ…花連氏?」
花連「あぁもうっ、だから抱きつくなーっ!」
聖奈「…ふふっ」
杏樹「これで本当に、一件落着。ですね!」
聖奈「…えぇ。そうね!」



実紅「次回の予告だよ!」
聖奈「ネバーギ部アップに依頼が来たわ。」
花連「へえ?どんなの?」
聖奈「うちの学校の寮の管理人さんが飼っている犬が行方不明らしいの。」
実紅「大変!ネバーギ部アップの今回の活動は、管理人さんのわんこ探しだよ!」
杏樹「えっ……犬?」
花連「次回。我ら、ネバーギ部アップ!第3話、『探し物はトラウマと共に』お楽しみに。」
杏樹「どうしよう…怖くて動けない…っ!」

我ら、ネバーギ部アップ!第2話『お花見は切なさと共に』

勢いで駆け抜けました第二話。
ネバギ部のわんこ探しはどうなる…?
第三話もお楽しみに。

我ら、ネバーギ部アップ!第2話『お花見は切なさと共に』

  • 小説
  • 短編
  • 青春
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2020-04-13

CC BY-NC-ND
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