縫いあわせたもの、つながり、やくそく、深い眠りと、あざやかな夢
あおい はる
きょうのことを、きみは、笑ってくれるのかな、わからないで、よのなか、わからないことばかりで、あしたになったら、すべてがわかるような世界に、いきたいと思った。
学校の、春のプールに、浮かんでいるだけの桜の花びらと、視聴覚室の机に、誰かが忘れていったマニキュア。あの日、町にある小さな水族館でみた、イルカショーのことを、ときどき思い出すよ。月がまるい夜は、なんとなく怖いと感じる、おおきければ、おおきいほど。反対に、三日月の、たよりなさはあるのだけれど、どこかにやさしさを孕んでいる気がするのは、ぼくだけなのだろうか。こどもの声がしない公園の、さびしさを、きみはしらないでいてほしい。
白い花だけを売っているお花屋さんで、白い花束を買う。町の西にある博物館には、あの子たちがいる。眠っているのならばいいのだけれど、おそらく、はんぶんは起きていて、じゆうにあそびまわっている。アパトサウルスの化石をすべり台に、ガラスケース越しにかくれんぼ、おおむかしのなんとか原人の模型や、いまはもうつかわれていない天体望遠鏡、活版印刷機などの展示をうまくよけならが、おいかけっこ。
町のどこかに、しあわせはあるって、かなしみが浮き彫りになっているけれど、きっと、みえないところに、ぽつり、ぽつりとでも、あるって、しんじてる。
縫いあわせたもの、つながり、やくそく、深い眠りと、あざやかな夢