To be apathy

わたしはわたしのことが

やっぱりよくわからないから

聞いてまわってみたけれど

やっぱりよくわからなかった

いままでじぶんを生きてこなかったような気がして

じぶんのなまえさえも

だれかの役を演じるために与えられた

呪いの詞にしか見えなくなってしまった

わたしが喘げば喘ぐほどに

そのなまえはわたしの知らないところで

知らないうちに自我を持ちはじめて

「わたし」の存在を排除しようとしてくる

なにかに憑かれたのか

本心が虚妄に覆われてしまって

傀儡になってからより一層

うまく呼吸ができない

傷だらけになって膿んだアイデンティティが

確実にじぶんを葬り去ろうとしている

それでも依然としてわたしはこの器のなかで浮遊していて

血反吐を吐きながら途方もない繕いを繰り返す

どちらかの消息が絶たれたときにようやく

生まれたことを名乗れるんですか?

解離が制御できなくて

まただれかを演技で殺してしまう

くらいなら いっそのこと

ゾンビになりたい

目の前が暗闇になったら

ひとりで消えることも怖くなくなる気がする

クオリアを全摘して

宇宙とひとつになりたい

わたしに殺される前に

わたしが殺したい

To be apathy

To be apathy

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-03-31

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