AT(改造版)
森下巻々
※成人向け・強い性的表現があります。
登場人物は二人
タロウ
エリカ
*
「タロウ君。……キミは、お臀の穴がこんなに好きなんだから、名前をアナル・タロウにしなさいね。昔むかし、或るところにアナル・タロウと呼ばれる若者がおりました……、なーんてね。そうだ、長いから『AT』でいいわ。キミ、今からATね」
ATと呼ばれることとなった彼は、全裸でベッドにうつ伏せになっていた。開いた脚の間には、女性が顔を入れている。彼女の名前はエリカ、彼にはその姿が、眩しく見えている。
「ぼ、ボクは……」
エリカは、ATの臀部の中心をペロリペロリと舐めるのを中断し、
「な、何なのよ。なんかワタシ、変なこと言ったあ? それとも、大好きなアナルの感じ方についてリポートしようとでも言うの? ジャーナリスト気取り? ATジャーナリストって肩書きでも名乗ろうっていうのかしらね」
「べ、別に……、お臀の穴が好きな訳じゃ……」
エリカは、ペシと彼の臀部の肉をひっぱたくと、声大きく、
「嘘言わないでよ。舐められて、前、ガチガチになってるんじゃないのッ! ほら、腰上げて、見せてみなさいよ。ほらあ、どう見てもチ●ポ、ガチガチじゃない?」
「そ、それはさっき、エリカさんが触わったからあ……」
「待ちなさいよ。アンタっ、自分にMっ気あることを認めない訳!?」
エリカは、双臀を両の手で左右に広げて、舌を差し入れてくる。
「ああん」
「ほら。初めて感じた女の子みたいな声出しちゃって。あなたはアナルが大好きなのよ。認めなさい」
「ぼ、ボクはただ、舐められると……」
「な、何? 今度はワタシの言い方が可笑しいって言い出す訳? アナルが好きなんじゃなくて、アナルを舐められるのが好きなんです! ですか!?」
彼女がまた、舌を当ててくる。
「ああーん」
躯の中心部を、しっとりとした感触で突かれるようである。ATは快感に陶然となる。
「それからね! キミ、ワタシのことは、『エリカ様』と呼びなさい。様を付けるのよ、ちゃんと。誰がこんなに丁寧にアナル舐めてくれるっていうの? 感謝の気持ちを、呼び方にも言葉にも込めなさいよ」
「はあん、はい……。エリカ様」
エリカの舌がペチャペチャぴちゃぴちゃとうごめく。虫が這うようで、グロテスクでもあり、しかし、どうにも抗うことのできない、いい気持ち。
「ああ、気持ちいいです。有難うございます、エリカ様」
「そう、そうよ。AT! そのくらいは言っても当然なんだから」
エリカは、舐め続ける。
彼は、腰を上げ、中途半端な四つん這い格好のままにされている。
「それにしても、あなた変態ねえ。舐められてばっかで、それで満足なんだからねえ」
「ううう……」
「今度は、口ごたえしないのね。ホントなんだあ? 舐められて満足なんだ。この変態!」
エリカが、手の平で彼の臀部を一発叩いた。
「あはん」
「今、笑ったでしょ? き、キモっ! ワタシ、ドン引きよ! 気持ち悪う。変態にもほどあんじゃない?」
「ううう……」
「口ごたえしないの? ホント、びっくり。変態。変態。変態。キミさあ、そんなんで良く今まで、そうやって生きてきたわね。自分で変だなと思わないの? ほら、こんな風に?」
エリカが、再び舌を伸ばし、穴の中に入れるかのように強くしてきた。
「ああー」
「わッ。ヒクヒクどころか。スッゴい開いたよ。キミ、これまで何人に舐められてきたの? ガバガバなんじゃないの?」
「いいえ。こうやって舐められたことなんて、そんなには……」
「嘘言いなさいよ。あきれるわ。そんな分かりやすい嘘!」
エリカは、話しながらも舐めることをやめない。言葉を発していないときには、舌は臀部の穴に触れている。
「いい気持ちです」
パシとまた叩かれる。
「分かったって、それは! この変態オトコがあッ」
「ああッ!」
彼女は、少しの無言の後で、
「うーん、ちょっと間違えちゃったわ。オトコを付けるのはもったいないわね。ただの変態よ、変態。ワタシはキミをオトコだなんて認めないわ。オトコとしての魅力なんてないんだから」
*
ATは、臀の穴を舐められながら、改めてエリカを見た。
赤っぽいセミロングの髪をし、眉は細めでスーッと引かれている。顔が小さいから首が長く見える。鎖骨へと連なる筋が美しい。彼女は下着姿、赤色に刺繡入りのブラジャーとショーツという姿だった。
首を後ろにひねって見詰めていたATに気づいたエリカは、
「何、見てんのよ。昔も、そうやってワタシのこと見てたんでしょう?」
「き、キレイだなと思って……」
「ふふッ。……変態のアンタの口が言うの、全然嬉しくないわよ。キモ……」
ATとエリカは、同じ高校の出身だった。学年も同じだったが、交際があった訳ではない。エリカの方では、ATの顔を見ていると、おぼろ気ながらに存在を思い出せるといった具合らしかった。
ATの方では違った。高校生当時に、エリカの存在をしっかりと認識していた。×年×組の美少女、名前はエリカだと。
だから、勤めている会社の社長の娘との、縁談の話が出たときには嬉しかった。入社したのはいろいろな条件が重なったからだが、社長の娘がエリカであることは、最初から知っていた。
「まだワタシは、アンタと結婚するって、ほん決めした訳じゃないんだからね! 聞いてんの、ねえ、AT!」
パシと臀部を叩かれて、ATは、
「はいいー」
「ホンット、お見合いの相手が高校の同窓生っていうのには驚いたけれど、こんなにアナルを舐められるのが好きだなんてことには、もっと驚いてるわよ、ワタシ」
「申し訳ありません……」
「何、謝ってるのよ。変態! 気持ち悪い。だいたい、謝るんならエリカ様まで付けなさいよ」
「申し訳ありませんッ! エリカ様」
「ちぇッ。ホントに謝るんだから……」
エリカは、またATの双臀を開き、その中心部に舌を這わせる。
「はあー」
「な、今度は、何?」
「スゴく、いい気持ち」
「それはまあ、こんだけ舐めてあげてるのに、気持ちくないって言われたら、困るわよ」
*
「それにしても、AT、アンタってスゴいわね。触わってないのに、チ●ポずっとガチガチじゃない?」
ATは照れた調子で、
「あ、有難うございます、エリカ様」
「もしかして、このまま舐めてるだけでも、満足だったりする訳?」
「かも知れません……。い、いや、やっぱり」
「どっちなのよ? ……ッて、オマエやっぱり、舐められるの初めてじゃないんじゃないか! バカ!」
パシと臀部を叩かれたATは、
「くッ、すみませぬ。エリカ様」
「はあー、もう、すみませぬ。ッて何よ。笑っちゃうじゃない、変態ちゃん……」
エリカの舌先は、ペチャペチャと音を立てた。
ATの初めての性体験は、生家の近所に住む未亡人だった。彼女も美人で、そういった関係になったとき、彼はとても嬉しかったことを覚えている。
未亡人は接吻も、ペニスを咥えるのも、巧みだったと思う。そして、彼女に臀部の穴を舐められ衝撃を受けたのだった。いい気持ちだった。何時までもいつまでも舐めてもらいたいと感じたのだった。
「何、もうイッちゃったみたいな顔してるの?」
いつの間にか、エリカがATの顔を覗き込んでいた。記憶の世界に耽ってしまっていたようだ。
「いいの? もう面倒くさいから、手で終わらせちゃいたいんだけど……」
*
ボーッとしたまま、ATは、
「う、うん……」
「何よ! 悲しい顔しちゃって。なんか、ムカつくから、このまま舐めてもあげるわよ。この変態のアナルを!」
エリカは、とてもイライラとした雰囲気になり、雑に彼を扱かって四つん這いにさせると、ペロペロペロペロと、ATの臀の穴を舐めることを再開した。
「はあーん」
「バカじゃないの……」
「……」
「こんなんで気持ちいいんだなんて……。気持ち悪う……」
エリカの、蔑むような言葉が、ATの耳に突き刺さる。
彼女は、舐めながら、片手でペニスをシゴくことも始める。
「き、気持ちいいい」
「ほらあ、だったら、早く出しちゃいなさいッ! 気持ちいいんでしょッ」
やがて、
「はあ、はああああー」
ドボ、ドボドボと、ATは精を放った。
「ええ!? 何? こんなに出るの、アンタ」
「は、はあー」
そして、
「うわ、臭っさいの出すわねえ……。変態クンは……」
ATの目には、そんな風に話すエリカの姿が、より輝いて、より眩しく見えたるのだった。
(おわり)
AT(改造版)