階段

階段

 早朝、尿意を催した。
タオルケットをのけ、寝ぼけまなこでベッドから降りる。
カーテンを引き、部屋の戸を開けた。
 既に日は昇り、白い光が眩しい。
トイレは1階。階下へと目を向ける。
 すると誰か、階段を上ってくる。

 手足が長く背の高い、全身真っ白な人型。
ところどころ穴が開き、向こう側が透けて見える。
あるべきパーツが顔に見当たらない。
 あまりのことに仰天し、目が離せない。
 
 不思議なことに相手もこちらに驚いている、
そんな印象が伝わってきた。
 時が止まったような数秒間。
 やがて彼は消えていき、
僕は階段を静かに下りていった。

階段

階段

  • 小説
  • 掌編
  • ホラー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-03-25

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