黒塊の独り言

音澤 煙管

黒塊の独り言

生死が隣り合わせの毎日で……


「ぼくは今、
道端に横たわって居る。
好きでこんな場所に居るのでは無い、
何時もの場所で偶然がそうさせたからだ。
この景色も悪くは無い、
でもね、以前より身動きが取れないんだ。
運良く、今日は雨降りではない
心地よい風を感じてる。
まだ夜明け前だから、
通りかかる車のライトが眩しいだけだ。
今までが幸せだったとか、
今在るこのぼくが不幸かはわからない。
きっと、何もかもが偶然で
始まりと終わりの始まりかもしれない。
風を感じなくなると意識が遠くなる、
瞼の力も緩んでくると眼の前で転がる
落ち葉で風の様子がわかっていた。

さぁ、お迎えが来たようだ……
この世界とは別れを告げなければならない。
これからは、どんな世界が待っているのかな?身体の感覚が無くなってきたから、
少し休むことにするよ。

微かに匂う、東雲の風を嗅ぎながら…… 。」


ある通勤の朝、通い慣れている道端に
車に轢かれた黒い猫を見つけた。
きっとそんな最後の独り言を言っているのだろうと、車を停めて偶然載せていた毛布に包み、また車を走らせた。会社とは反対方向の動物用火葬場に向かったぼくだった……この日は会社をズル休みした。

黒塊の独り言

黒塊の独り言

朝の通勤の道で……

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • ミステリー
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2020-03-23

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