因果


小さな小さな穴から 外を覗いてた
井戸の中を 覗き込むような視界の悪さで

毎日毎日 根気よく

見たい見たいって 暗闇に目を凝らしていた
へこたれることなく 卑屈にもならずに


いつからだろう

欲しがらなくなったのは


本当は欲張りの傲慢で
頑なで 我儘なのに

欲しい欲しいって  無邪気に言えたのに
嫌われることを 怖がることなく


いつからだろう

装うようになったのは


本当は愛されたがりの執拗で
固執して 嘘つきだから

だめだだめだって 蓋をするフリだけした
無視される怖さを 知っているかのように


一歩も動けない

手を差し伸べてもらうまで

一歩も動けない


あの小さな穴は 少しずつ濁って
大切にしたいもの 見えなくなった


あぁ

これを 因果というのかな

因果

因果

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-03-22

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted