birth

思えば
初めて道を間違えたのは
私がまだ精子と卵だったころ

彼は右に行くべきだったのに
何をとち狂ったか左へ向かって
運命の片割れと出逢いました

かわいそうに彼の兄弟たちは
出口のない二人の愛の巣で
手渡せなかった恋文を抱えて死んでいく

狭い産道をとおって
ひかりに晒される私を祝福するのは
幾億もの白い紙ふぶき

ひらひらと
ひらひらと
ここに辿りついた私に
死骸のラブレターが声援をおくる

生きろよと
がんばれと
産声をあげる私に
死骸のラブレターが声援をおくる

birth

これはかなり気に入ってるやつの1つ。もうだめだってなった自分が読み返して生きるための詩。

birth

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-03-22

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