泣く
午後六時、ふと、泣きたくなる。
全身の、ちからをふりしぼるように、泣きたい。あるいは肺が嗚咽に耐えられず潰れてしまうように。
そうやって泣いてもなにもかわらないことは、たとえばドラマでなんども観ました。映画でも。
でもそれでも、空が夜におかされるまえの一瞬、うつくしい水色が、赤が、その境い目のやわらかなピンクが、ふと、なみだを誘う。
くやしい。空は宇宙を味方につけている。なにもとどかないって、よく、わかる。
酸素がなければ生きていけない、そもそも不完全ないきものなんだ。肺が、呼吸したがってる。っ、う、ひ、っ、みっともなく、嗚咽。
くりかえし、すなおに夜を受けいれる空のした、さんざん、ただ獰猛に、健康的に、泣く。
泣く