九月の声色

九月の声色



     



灰色の渡り廊下。無闇に投げやりな懐中時計を君が拾ってくれた。時間を必要としなかった朝の極限。ひとを求めた九月。静かにフォルテッシモを終えて通り過ぎる。遠ざかる君の声色。あの日と同じ夕刻の渡り廊下はもう染められて。僕は二度失った。終わりの君に遭遇し初めの君を送った。九月の声色は遠く。
       

九月の声色

作品集1 http://slib.net/a/1845/
作者ツイッター https://twitter.com/2_vich

九月の声色

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-03-19

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted