祭日とメタモルフォーゼ

神経の通っていない指であなたに触れると

あなたは人ではなくなってしまった

わたしがわたしを維持するために

あなたを人ではなくしてしまった

人間世界で人間という役を失うことは

死ぬこととほとんど変わらない

わたしもだれかを維持するために

何度も殺されているだろう

夜に溺れて息絶えるように

しずかに ゆっくり からだじゅうの水分を飛ばして

あたらしい寝台を築いていく

聡明な凪も顔色を変えて

つくりかえ つくりかえられ

もとのかたちを おもいだせなくなっても

意味のない 物憂げなことばを奏でて

いつもなにかを弔う歌を 歌いつづけるのだろう

だれもがメタモルフォーゼの器であり 抜け殻

人間をやめてはじめて 人間らしくなれた気がした

祭日とメタモルフォーゼ

祭日とメタモルフォーゼ

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-03-14

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