祭日とメタモルフォーゼ
神経の通っていない指であなたに触れると
あなたは人ではなくなってしまった
わたしがわたしを維持するために
あなたを人ではなくしてしまった
人間世界で人間という役を失うことは
死ぬこととほとんど変わらない
わたしもだれかを維持するために
何度も殺されているだろう
夜に溺れて息絶えるように
しずかに ゆっくり からだじゅうの水分を飛ばして
あたらしい寝台を築いていく
聡明な凪も顔色を変えて
つくりかえ つくりかえられ
もとのかたちを おもいだせなくなっても
意味のない 物憂げなことばを奏でて
いつもなにかを弔う歌を 歌いつづけるのだろう
だれもがメタモルフォーゼの器であり 抜け殻
人間をやめてはじめて 人間らしくなれた気がした
祭日とメタモルフォーゼ