マツケン奮闘記・・?!③
深刻な顔した西田が何気にポケットから何やら出してきた怪しげなそれを、俺は恐る恐ると覗きこんだ・・。
なんてのは、ちょっと悪乗りかな・・(笑)
けど、見た処、ただの封筒だ・・。
それは分かったんだけど、でもさ、何も書いて無いってのはやっぱり怪し過ぎだと思うんだよな・・。
(それとも、これになんかあんのかな?・・)
「なあ西田?これってさぁ、どう見てもただの封筒だよなぁ?なに、これがどうかしたのかぁ?」
って聞くと何気に西田の奴、笑ってやんの・・。
「おいこらぁなに笑ってんだよ?俺真面目に聞いてんだぞぉまったく、からかってんなら俺帰るからなぁ?」
「ああ悪い別にからかったつもりは無いよ、あ、あのさ?これお前の妹の真子ちゃんに渡してほしいんだ
悪いけど俺すぐ帰んないといけなくてさ・・だから悪いけどこれ真子ちゃんに渡してくれ頼む、なっマツケン?
お願いします、それじゃ俺、これで帰るよ、ホントごめん、頼むな?それじゃ」
「はーぁ?何言ってんのお前・・おっおいー!西田ー!・・なんだよそれぇ?」
(何考えてんだよあいつは・・、呼んどいてそれは無いだろう、まったく・・)
そして数分後・・何気に小池と奈津美が店に入ってきた・・。
(ああ、また厄介なのに会っちゃったよ・・)
「あれ?マツケンじゃない、どうしたの?なに一人?」
と、声を掛けて来たのは、ついこの間会ったばっかの、奈津美だ・・。
「どうしたのってなんだよ、俺だって・・あ、まいいや・・んで?そっちはどうした訳、二人揃ってさ?」
「ああ、あたし達は、ほら今度の同総会の事で色々とね?ああ丁度好かった、ねえ美香?マツケンにも
入って貰おうか?その方が少しは楽できるんじゃない、ねぇ?」
「あっそれもそうねぇ?ねぇいい松岡君?せっかくだし・・ねぇ?」
そう言ってふたりして俺のテーブルを陣取った・・。
(なに勝手な事言ってんだか、まったく・・)
「あのなぁ俺は・・あっまいいや、ここの席譲るから二人でゆっくり遣ってくれ、俺は帰るよ、じゃぁな?」
と、俺が席を立った直後、奈津美が、いきなり俺のズボンのベルトを引っ張った・・。
「おっおいィ!ちょっとそこ引っぱるの辞めろよ、お、俺のズボンが、脱げちゃうよ!それ不味いだろ、なっ?」
(いきなり何処掴んでんでんだかなぁ、まったく・・)
「あっごめん・・でもどうして帰るの?せっかくなんだから付き合ってよ、あっコーヒー奢るからさ、ねっ?」
(これだよ、何考えてんだかまったく・・・あっそうだ・・)
「なあ奈津美?話しは違うんだけどさ、あのお前さぁ?何時でもいいんだけど俺の兄貴に会ってやってくんない
かな?なんかお前に話したい事があるらしいんだ、何時でもいいんだけど、駄目か?まあ無理にとは言わないけど、
俺も兄貴に頼まれちゃったもんだからさ、駄目かな?」
なんか驚いてた、まあ当然だよな、いきなりだし・・。
すると、何故か奈津美が笑ってひと言・・。
「いいよぉ・・」
っておいマジですか・・なにこうもあっさり・・なんでぇ・・なに、この軽いノリ・・。
「あっあの・・奈津美さん?・・・ホントのホントに、いいのか?」
するといきなり奈津美が奴怒りだした・・。
「何よぉ?あたしが素直にいいって言ったらなんか問題な訳ぇ?自分から聞いといてそれって無いんじゃない
のぉ?まったくこれだからマツケンはぁ!別にいいならいいわよ?あたしは別に構わないんだし・・」
「ああ、悪かったよ?だからさ、会ってやってくれ、頼みます、このとおり宜しくお願いします」
とまあ、一応頭をさげて頼んでみた。
すると奈津美の奴、急に笑い出していきなり俺の肩を叩くと・・、
「そっかそっかよしよし、そこまでして頼まれたら嫌とは言えないわね?そっかぁそれじゃ頼まれてあげよっかな?
それで何時でもいいのねぇ?それじゃぁそうね、同総会終わってからって事でいいかな?だから同総会の翌日、ね?
そう言う事で、この後も宜しくね?マツケン君?」
(ああぁ頭下げんじゃなかったなぁ俺・・)
「はいはい付き合えばいいんだろっ付き合えば?分かりましたよ・・」
(まっしょうがないんだけどさ・・けどなんか泣きたくなってきたよ俺・・)
一気に店から出てきた西田は、帰り道を一人歩きながらニヤニヤと顔を綻ばせてた・・。
(よし!これで今年の冬は・・、真子ちゃん俺の気持受け止めてくれ?絶対ヨッシーなんかに行かないでくれよな)
と夜の空仰いで恥も外聞も何のそので思いの先の真子にただ思いを込めて、また西田はニヤニヤと顔が綻んでた・・。
そして奈津美と小池は、何やら小池が自ら作ったとか言うクラスの名簿をテーブルのど真ん中に置いて何気に
盛り上がってる・・。
でもって、二人に付き合ってかれこれ一時間になるけど、何気にお付き合いしてる俺は未だ帰れる気配まったくなし・・。
これって在りかよ・・。
けどま、そのお陰と言っていいだろな、何とか同総会に来る人数も十五人くらいは、ほぼ確定までこぎつけた。
けど、どううい訳だか奈津美の奴は、いまだに携帯を片手に電話を掛けまくってる。
(諦め悪過ぎだろ・・、はぁどうでもいいけど腹減ったよな・・)
で、俺が腹を擦ってたら、いきなし奈津美に袖口を引っ張られた・・・。
「ねえマツケンてばぁ、聞いてるー?もうなに他所向いてるのよぉまったく・・あのちゃんと聞いてよね?
ええっとなんだっけ・・、ああそうだ、ねぇ、マツケンは田中裕也って覚えてる?」
「ああ、田中かぁ?はいはい、覚えてますよ?あの眼鏡かけてる奴だろう?ああなにあいつも来るのか?」
そうだ確かに居たよ田中和也、ちょっとインテリって感じで、おまけに頭が良くて、超がつくくらいの真面目な奴。
けどあいつのしゃべり方は女ぽくて、ちょっと背筋が寒くなるっつうか、俺はどうもそう言うのって苦手なんだよな、
けどそんなあいつはクラスの委員長だったりしてさ・・。
「そんなんじゃなくてぇまだ連絡取れてないのよ、ねえ田中君の電話番号とかって、マツケンは、聞いてない?」
その時小池が・・・。
「ああ、あたし知ってるわよ?田中君の電話番号、それとあと千夏ちゃんもね?何ならあたしから掛けてみるけど」
「えっうそ?なんで知ってるの?えっ美香・・、もしかして田中君と付き合ってたとか?」
「嫌だぁそんなんじゃないわよぉ、ちょっと色々あってね、それで教えて貰ったのよ?でもそれは高校の時だけよ?
だから余計な詮索は無しだからね?あ、松岡君もねっ?」
(なんか、そう念を押されちゃうと、余計に詮索したくなるんだけどな、まあいいけどさ・・)
「ああ、それは無いから心配するなって・・それよりさぁ?今言ってた千夏っちゃんって、あの背のちっこい奴だろう?
確かあいつも卒業したら、東京行くとかって言ってたろ、けどまだこの街に居るんだ?」
「あ、うん、何でもお父さんが倒れたとかで、行けなくなっちゃったみたい、千夏ちゃん、お兄さんと二人兄弟らしい
んだけどでもお兄さんに任せては多分行けないんじゃないのかなぁ?あっでも、それって去年の暮れに会った時に
聞いた話しだから今はどうしてるのかは知らないわよぉ?・・」
実を言えば俺がちょっと気になってた子がその渡瀬千夏なんだ、けどそれは俺の片思いで終わったんだけどさ・・。
その時、急に小池がマジな顔になって俺を睨んだ・・・。
(ななんだよ急に・・怖いから辞めろっつうの、訳わかんない奴だなぁ・・)
すると・・・。
「ねぇ?松岡君は小坂井先輩と親しいわよねぇ?東京から今、帰って来てるのって知ってたぁ?」
(はっ?なんで先輩?・・)
「はっ?あ、ああぁ?知ってるけど、なんで?なに急に、先輩がどうかしたのか?」
「あ、んん、それで・・先輩と、もう松岡君は会ったの?」
「ああついこの間な?なにそれがどうかしたのかぁ?」
「あの、松岡君はもう、あ、あたしの事聞いてるのかな?」
「はぁ?なんの話しだよぉ?俺が会ったって言ってもほんの二三十分だよ?それに大した話しなんかしてないし、
ってお前の話しなんかしてないぞぉ?なに先輩がどうかしたのか?」
「ああっそうなの・・あ、実はあたし・・小坂井先輩と一緒に東京へ行くことにしたの、あ、奈津美、黙っててごめんね?
本当は、黙って行くつもりだったんだけど、でもやっぱりそういうのってよくないもんね・・・。
それで悪いんだけどあたし、今度の同総会、出られないの、だから・・・ほんとごめんなさい」
「ええっ?美香、それって本気なの・・?うそ、でも同総会は一緒にって二人で楽しみにしてたんじゃない、それなのに
どうして今頃そんな事・・それにもう何日もないのよ?・・美香が出ないならあたしも出ないよ・・」
「はあー?なに言い出してんだよ?あっなあ小池?その東京に行く話し、なにいつ決まったんだぁ?別に行くなとは
言わないけどさぁ?・・なに、もしかして、先輩に誘われたのか?」
「そんなんじゃないわ、あたしがそう決めたの、先輩、同総会の前には帰っちゃうの、だから・・・あたしも連れてって
ほしいって頼んだの、そしたら一緒に行こうって・・言ってくれたのよ・・だから・・」
「だから、って言われてもなぁ・・あ、あのさ?もうひとつ聞くけど、先輩は同総会の事知ってるのか?」
「そこまでは聞いてないわ、でも知ってると思う・・とにかく、あたしがそう決めたの?!・・もうこの話はお終いよ
それじゃぁそろそろ終わりましょ?もう時間も遅くなっちゃったし、あ、奈津美?そう言う事なの、でも当日までは、
遣る事ちゃんと済ませるから、だから心配しないで?それとあたしがこれない事で奈津美が辞めるなんて事はしない
でほしいの、お願いね?それじゃ悪いけどあたしはこれで帰るね?お疲れ様ー!」
(なんか、ややこしい展開になっちゃったなぁ、参ったなこりゃ、どうすっかなぁ・・)
それに奈津美はショックが大きかったのか椅子にどっかり腰を下ろしたまま動く気、まったくなしと来てるしさ・・。
とは言ってもこのまま、此処に居る訳にもいかないし、とりあえずは・・・。
「なあ奈津美?俺たちもそろそろ帰んないか?おーい奈津美さーん、聞こえてますかー?もう帰りましょー?!」
するといきなり奈津美が怒鳴りだした・・。
(なななに・・?)
「うるさいー!ああもうーいいからほっといて?帰りたいならどうぞー?さよなら?!」
「なんだよぉそう怒ること無いだろ?なあ小池の事は俺が何とかすっから、だから今日のとこは帰ろう?なっ?」
「えっ?何とかって、何かいい案でもあるって言うの?ねえマツケン・・?」
「あっいや、まあぁ・・有るといやぁ・・有る、無いといやぁ・・無い・・、かなぁ?」
「はぁ?なによそれ意味分かんない、それで何とかするもないでしょうが?まったくこれだからマツケンは!」
「おいこらぁ?そういう言い方ないだろうぉ?俺、マジに何としようとか思って言ったんだぞぉ?それとも何かぁ?
お前、もうしょうがないとか思ってたりする訳?あっまあそれでも俺は別にいいんだけどさ?まっいいや、そんじゃ
俺、先帰る・・」
って言いかけた俺に、奈津美がいきなり足蹴り入れやがった・・。
(マジかよ!)
「痛ってぇなぁー?!なにすんだよお前はー?マジ痛かったよ、ああぁこぶ出来ちゃったじゃねぇかよぉ・・、
なんだよ帰れって言うから帰るって言っただけだろぉ?まったく・・」
「何言ってるのよぉ、女の子一人、本気で置いてく気なのぉ?少しは気にしてよねぇ?・・あ、あの美香の事、出来る
ならお願いしてもいいかな?やっぱり美香には行ってほしくない・・、ねぇマツケン、頼んでもいいィ?」
「あっああ、まあいいけど、まったくどうしてこう、あっまいいや、そんじゃ帰りますか?あ、今度こそ帰るよなぁ?」
「そりゃ勿論、あたし帰んないなんてひと言も言ってないもんね?それじゃ帰りますか・・」
(まったく付き合いきれないっつうか、いい加減、疲れたよ俺・・、ああ、腹減ったー?!)
やっと解放されて、帰りついた俺は、もう空腹を満たすのが最優先・・・。
な訳で俺は走行に飯っ食ってそれから風呂入って、その後、まっしぐらに布団へと直行・・・。
のはずが・・・。
いきなりドアを叩く音・・《コンコンッー》
(ああそっか、すんなり寝かせてくんないのも我が家なんだっけなぁ・・はぁ・・)
「もう寝たよー!」
すると真子が顔を出した・・。
「あ、ごめんね?あ、あのね?明日吉野さんに会う事になってるの、それで・・あの、兼兄も一緒に来てくれないかな」
「はぁー?なんで俺がぁ?お前なぁ、そう言うのは・・・あっそうだ、忘れるとこだった・・ああっ有った、はいこれ?
西田に渡してくれって頼まれたんだ、まったくあいつ何もいいやしないしさぁ・・ああ、まあとりあえずなんだか
知んないけど受取ってやってくれよ、なっ?」
(ああ危うく忘れるとこだよ、まっこういう時は来てくれて感謝ってとこだな・・)
「なに、これ?西田さんって、あの西田さん・・?」
「ああそうだよ、なんか知んないけど、どうしてもお前に渡してほしいってせがまれっちゃってさ?渡したからな、
後は宜しく?ああそれとお前のデートに俺は付き合う気は無いからな?んじゃそう言う事で、おやすみ!」
っとまあ俺は布団に潜り込んだ。
(冗談じゃないよ、なんで俺があいつのお伴までしなきゃなんないんだよ、まったく・・)
するといきなり真子が悲鳴を上げた・・。
(はっ何?なにごと?)
「ええっーうっそぉー?ええっあたし困っちゃうよ~」
(はあ?何がどうなってんだぁ困るって何・・ってか、まだ居たのかよ・・)
とかいいながら俺の部屋の入口に坐り込んだ・・。
(何なんだよ、まったく・・)
「なに?なにがどうしたんだよ、いきなりー?・・」
「ねえ兼兄?あたしどうしよう?西田さんに迄、ラブレター貰っちゃった・・・あたし二人と付き合うのかな?」
「ばーか、どうしてそうなるんだよぉ、けど驚いたなぁ、西田の奴が真子にねぇ・・けど何気にお前、もてるんだなぁ?
まいいや、お前の好きな方選べ、なっ真子?俺はどっちでもお応援すっからさ?」
まっ兄貴の俺としては、もてる妹を持つのは、満更悪い気はしないもんな。
すると、いきなりスリッパが俺の頭の上に乗っかった・・・。
(はいっ?なにこれ・・?)
「コラァ?!何やってんだよお前はぁー?!・・人の頭に何乗っけてんだよ、まったく・・」
「だってぇ?兼兄、人ごとみたいな事言ってるんだもん・・、兼兄、全然分かってないよ、兼兄が思ってるより単純じゃ
無いんだからねぇ・・ねえ兼兄、明日一緒に行ってくれない?やっぱり一人で会いに行くの自信ないよ・・・。
やっぱりあたし、あの人なんか苦手かも・・・だから一人で会いに行ったら絶対あたし、オッケイしちゃうよ・・。
あたし自信あるもん、だからさぁ一緒に行って?お願い、ねぇ兼兄・・?」
(はぁ?何の自信だよ、そんなのに自信持ってどうすんだっつうのまったく、訳分かんねぇ・・)
「あのなぁ?・・」って俺まだなにも言ってない筈なんだけど、何故か真子の奴、また泣いてやんの・・。
(なんでこうなるんだぁ?ああーもうーつき合いきんねぇよなぁ、まったくー)
「おい、何で泣くんだよぉ・・はぁっ、これだから・・ああぁもう分かった、行くよ、行きゃぁいいんだろうがぁ?
だから、もう泣くなっ?!・・お前が泣くと、また俺が兄貴に怒られんだからなぁ?まったく・・」
とは言ったもんの、俺は何しに行くんだよ・・。
「あっそういやぁお前、西田の事はどうすんだぁ?」
「あっそうだった・・どうしよう・・あっでも西田さんは優しいし、それに真子は嫌いじゃないよ?だからちょっとだけ
付き合ってみてもいいかなぁ?なんてね?今思った、まあそう言う事でとりあえずは明日、宜しくね?お兄ちゃん?」
ってなんだよ、さっきのあの悲痛な叫びはなんだったんだよ、まったく・・・。
けど到底俺には理解できないんだろうな・・多分だけど、そんな気がしてきたよ・・。
「分かったよ、とりあえず明日な、もういいだろう、お前もう部屋帰れよ、俺、寝たいんだからさぁはいおやすみ?!」
とつい追い出してしまったんだけど、ふと俺はまた泣きつかれるかと真子の顔を覗いてみたんだ・・。
けど真子の奴、あっさりと・・・。
「そうだね、それじゃおやすみなさい・・」だってさ・・。
(はぁ良かったぁ・・)
そんで俺は、やっと今度こそ眠れると一目散に布団の中へと潜り込んだ。
けど甘かったようで、今度は携帯が鳴りだした・・。
(何なんだよ~俺を寝かさない気かぁ、はぁ渋谷?)
「ああ渋谷?何だぁこんな時間にー?」
『ああ悪いな?明日だけどお前空いてないか?ちょっと相談したい事があんだ?お前に合わせっからさ、頼むよ』
「ああ、別にいいけど、それなら明日電話してきてもよかったんじゃないのかぁ?なんでまたこんな時間なんだよまったく、
あ、まいいや、それじゃ明日、夕方の六時、何時もんとこな?」
『ああ、サンキュ?それじゃ明日』・・。
(何なんだよぉ俺寝かさない気かぁ、まったく、ああもう疲れたー!!)
マツケン奮闘記・・?!③