黒中夢
黒中夢
目を閉じる。
一寸先は闇か、はたまた光か。
なにも見えない。
静寂の中だった。
喧騒の中だった。
そこにいるのは天使なのか悪魔なのか。
一人が言う。その先は闇だと。
一人が言う。その先は光だと。
僕はどちらが正しいことを述べていて、どちらが間違ったことを述べているのかが区別がつかなかった。もしかすると、二人ともが正解へと導いてくれているのかもしれない。
背後から気配がする。
何かが近寄ってくる。何かが通り過ぎていく。何かが遠ざかっていく。
そんな気配が。
どこが正解なのか。左か右か下か上か。それとも別の方向なのか。
さっきの何かについて行けばよかったのだろうか。
いや違う。
見えない世界が続いていく。
叫びもため息もすべてが吸い込まれて亡くなっていく。
目を開く。
そこには無が有った。
黒中夢