山口旅行の和歌

緑なす山に向かひし瑠璃光寺
池に映るは時か心か

夕焼けに海照り渡る鐘秀台
中也も聴いた黄金の風

秋吉の野焼きのけむり空を焼き
灰と漂ふとんびの一羽

とこしえの時のつくりし秋芳洞
落ちる水にも背の縮こまる

山焼きの後の秋吉風強し
行けども灰と岩と空のみ

朝日さす段々畑にばば一人
かつての唄も今は聞こえず

長門峡どんぐり一つ投げ入れど
沈みてわれと行く友もなし

あちこちに落ちてゐるのは寒椿
上向く花を踏まずに歩く

軒下に玉ねぎ吊るす雨の降る
巷に響く犬の鳴き声

其中庵雨宿りするわれ一人
かの俳人の雨音を聴く

大雨の新山口で足止めか
土産の本を読めるものらし

ぎゅうぎゅうの新幹線で立ち寝して
網棚からもこぼれるお土産

われの往くとこよりわざわざ我の住む
とこに来にける人もありけり

山口旅行の和歌

去年の山口旅行の際に作ったものです。中原中也や種田山頭火の出身地であり、明治維新の母体ともなったとても魅力的な土地でした。

山口旅行の和歌

  • 韻文詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-03-08

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