山口旅行の和歌
緑なす山に向かひし瑠璃光寺
池に映るは時か心か
夕焼けに海照り渡る鐘秀台
中也も聴いた黄金の風
秋吉の野焼きのけむり空を焼き
灰と漂ふとんびの一羽
とこしえの時のつくりし秋芳洞
落ちる水にも背の縮こまる
山焼きの後の秋吉風強し
行けども灰と岩と空のみ
朝日さす段々畑にばば一人
かつての唄も今は聞こえず
長門峡どんぐり一つ投げ入れど
沈みてわれと行く友もなし
あちこちに落ちてゐるのは寒椿
上向く花を踏まずに歩く
軒下に玉ねぎ吊るす雨の降る
巷に響く犬の鳴き声
其中庵雨宿りするわれ一人
かの俳人の雨音を聴く
大雨の新山口で足止めか
土産の本を読めるものらし
ぎゅうぎゅうの新幹線で立ち寝して
網棚からもこぼれるお土産
われの往くとこよりわざわざ我の住む
とこに来にける人もありけり
山口旅行の和歌
去年の山口旅行の際に作ったものです。中原中也や種田山頭火の出身地であり、明治維新の母体ともなったとても魅力的な土地でした。