アイネクライネ
目線の高さにあなたが来た時
私は少女なんだと気がついた
遮断機が降りた踏み切りの外に
連れ出されるような熱い視線が
降り注ぐだけで幸せだった
有無を言わせない優しさなんて
矛盾するけれどあなたは知ってる
眠りに誘われたくなる夜が
私を走らせるということを
非常階段の最上階に
いつか自分で登る日が来ても
風の吹き溜りで蹴り上げるほど
高いヒールを持たずに過ごして
安定をいちばんだと思った
私はまだ幼いのだろうか
指先が何かを壊していくのが
色気だと初めて分かると
靴紐を解く間に動いた
蛇の舌が擦り変わる瞬間に
ひとつの道筋を立てるように
標識がないから裸足になろう
アイネクライネ