雪解けの音が聞こえる

雪が降り積もりそっと握った
白いマイクと丈夫な本音で
チューリップの唇が裂けたから
もう一緒に春を待つことはない
垢抜けた色の口紅を捨てて
サンドイッチの具を少なくする
誰かのためにと動いた日々が
だらしない方角を目指していく
さよならは氷柱のように刺して
次の光をさえぎる辞書みたい
まだ新しい言葉を探せずに
それでも何故だか心が揺れる
過去と未来のページの間は
足跡が壊れるくらい離れて
時計の針だけが追い駆けたまま
雪道へ投げる涙のような
沈む重さが地面に顔を出す

雪解けの音が聞こえる

雪解けの音が聞こえる

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-03-05

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