GSを聞きながら
五十年前の昼は昼として存在するとして
こちらとあちらとを分け隔てているものは何だろうか
建物や科学技術の変化だけが
我と彼とを分け隔てているのだろうか
だとしたら何という貧しさ
何という狂おしさ
何という短さ
シーラカンスの瞬きのうちに過ぎゆく時を
僕らはあくせくしながら
坂を歩いていく
小早川中納言の変節を見下ろす弁当がらたちと
算盤が築いてきた中空構造は堅固に続いて
穢土の夜ははるか遠く
しかし二千六百年の幕政的死産児を
太字で教えられる子らの虚ろな行く末を案じるとき
やはりそこにある坂は
どちらに傾いているものか知れたものではない
モーニング・グローリーの可憐な朝に目覚めたなら
後はただ毒に溺れてしまえば済む
熱情的な昼の勢いと
直線的な夜の装いをさすらった後に見つけた港の衣擦れは
GSではないシティ・ポップの系譜
王政復古の夢を見たり
古代魚の化石を見たりして
転倒した先に待つものは果たして何ぞや
私は手を止め、ブランクという名の概念を示して筆を置くのみである
GSを聞きながら