自選ネコ短歌・俳句
本物の猫が見られる(かもしれない)イベントとして通勤をする
(東京歌壇 東直子選・特選二席)
疲れてるわけではないがもうおれは肉球以外触りたくない
(月刊うたらば 題「外」)
飼い猫の重みのほかはなにひとつ確かなものがない暮らしです
(NHK短歌 大森静佳選 題「重」 佳作)
ジグザグの猫がジグザグ駆け回る絵を描いた子に添い寝する猫
(NHK短歌 川野里子選 題「ジグザグ」 佳作)
先にシャワー浴びてこいよって顔してる猫と暮らしています 敬具
(うたの日 題「シャワー」)
もしぼくが村上春樹だとしてもやれやれじゃ済まぬ猫のいたずら
(うたの日 題「猫」)
茶々丸の毛を集めてる かわいいを構成してるいとしい部品
(うたの日 題「可愛い」)
齧歯類みたいな顔でウォシュレットの水を受けてるおれを見る猫
(うたの日 題「類」)
黒猫について行こうぜ名前のある場所には二度と帰りたくない
(うたの日 題「ナビゲーター」)
野良猫のカフェオレ色を少しずつミルクを飲ませ薄くしてみる
(うたの日 題「カフェ」)
何か猫的な大きさの白いのがビニール袋でもはやかわいい
(うたの日 題「何」)
やっぱりと思うところに猫小春
(東京俳壇 石田郷子選 一席)
かじけ猫よとなりでかじけさせてくれ
(東京俳壇 石田郷子選)
老猫の目で追ひかける油虫
(東京俳壇 小澤實選)
寄鍋に寄り来る猫をどかしけり
(東京俳壇 小澤實選)
インバネスの男忽(たちま)ち黒猫に
(かながわ俳壇 今井聖選)
水中(みずあた)り猫はにゆるりと帰宅せり
(かながわ俳壇 今井聖選)
北窓を塞いで猫と二人きり
(かながわ俳壇 今井聖選)
猫カフェの猫殖えてゐる春隣
(かながわ俳壇 今井聖選)
猫多き島の民宿初秋刀魚
(かながわ俳壇 今井聖選)
はたた神去りて正気に戻る猫
(かながわ俳壇 今井聖選)
墨の香を嗅ぎに来る猫星祭
(NHK俳句 題「七夕」対馬康子選 入選)
炭をつぐ手首を猫と見てをりぬ
(NHK俳句 題「炭」櫂未知子選 佳作)
自選ネコ短歌・俳句