【理系小説】五界会議は今日も廻る①

【理系小説】五界会議は今日も廻る①

2×××年、五界会議。
1ヶ月に一度という頻度で行われるこの会議は、植物界、動物界、真菌界、原生生物界、モネラ界の各界5界長が集まって五界の近況や問題などを話し合う会議である。
しかし本日の出席界長は5界長中2界長...
「ったく。モネラの奴はまた休みかあ?」
植物界界長、植原ゼンマイがぼやく。自界の中でも賛否両論の界長である。植物界では界長を決定する際、年功序列を採用することとなり、多数派の種子植物の祖先にあたるシダ植物から選出することとなった。しかしシダ植物の中で具人化できるのがゼンマイのみであったため、ゼンマイが界長となったのだが...いかんせん新芽の界長のため成体からのバッシングが多い。それと...やはり人為分類派の植物からは支持されていないのが現状である。
それでも界長が誰かなど無関心な、多数の植物たちになんとなく支持をされてここに立った界長である。
「モネラさんはいつも通り核探しの旅にでかけてますし、原生さんは自分を見失った原生生物のケアをしています。」
真菌界の界長は菌田(たけだ)キヌガサタケ。いわずとしれたキノコの女王である。真菌界は選出もなにも彼女が女王のため自動的に界長が決まることとなった。その美しさとは裏腹に、とんでもない悪臭を放っているキヌガサタケさんだが、動物界以外にその臭いを気にするところもないのでこうして五界長として君臨することができている。(前動物界界長、ニンゲンはキヌガサタケと同席する際ガスマスクのようなものをつけることを欠かさなかったが。)
「5界長が揃う日は何時来るんだか...」
雌株の特徴であるくるりと綺麗に巻いた緑の髪を指でいじりながら植原が言う。
「まぁ、そうですわね....少なくとも今日はそれに一歩近づけるのではなくて?」
ため息をつく植原を可笑しげに眺めながら、なだめるような口調で言う。彼女にとっても、退屈しのぎには最適なこの愉快な会議がにぎやかになるのは嬉しいことなのだ。
「...動物界の新界長、か。真面目に出席してくれるやつだといいけどな。」

【理系小説】五界会議は今日も廻る①

正確な分類学ではホイタッカーの五界説はもう古いらしいですが。まぁそこはゼンマイさん方も移行むけてがんばってるってことで!

【理系小説】五界会議は今日も廻る①

動物界、植物界、真菌界、モネラ界、原生生物界から擬人化したいきものたちが集い、話し合ったり時には討論しあったり、はたまた遊んだり喧嘩したりする場所。それこそが、愉快な五界会議である!

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • SF
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-11-03

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