雪割草

かんじきの四隅を緩めた後で
歩くのをやめて土に返すと
花が咲く時はもう春なんだ
背が低いのを悩んでいたから
地面に寝転ぶバーベルみたいに
持ち上げた空で誰かに会いたい
名前のせいで仲間外れになる
僕だって淡い紙に染まれば
足元は軽く滲むのに
人の靴が踏んでしまうのかな
黒の強さや赤の狡さは
肉体に縛られて重くなり
春にピンクを見つめるのはきっと
自分よりも儚いと思うもの
風が吹くたびに揺れる未来で
花びらを手紙のように渡して
報われたその気持ちの代わりに
僕はズボンを履いていなかった

雪割草

雪割草

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-02-28

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