烏独唱
術後にわたしは烏になった
これは胡蝶の夢だったのか
スクールゾーンが小さく視えて
そこに吸い込まれる蟻が
蟻ではないとわかるまで
何百年をも費やした
眼前の容子を啄んでいると
却って啄まれている気になり
よくよくみれば誰も彼もが
わたしの知らない花で無邪気になっている
数百年だか昔には
見覚えのある花な気がしたのだけれど...
瞬いて 瞬いて 瞬いて (停止)
瞬いて 瞬いて 瞬いて (再生)
奴等にわたしのなまえがわかるか?
わたしを名づけた母はいずこか...
空は至って健全で
気違いなのはわたしのほうかな
空にいるのは気違いで
下にいるのが健全なのかな?
術後にわたしは烏になった
麻酔が切れても烏のままで...
烏独唱