烏独唱

術後にわたしは烏になった

これは胡蝶の夢だったのか

スクールゾーンが小さく視えて

そこに吸い込まれる蟻が

蟻ではないとわかるまで

何百年をも費やした

眼前の容子を啄んでいると

却って啄まれている気になり

よくよくみれば誰も彼もが

わたしの知らない花で無邪気になっている

数百年だか昔には

見覚えのある花な気がしたのだけれど...

瞬いて 瞬いて 瞬いて (停止)

瞬いて 瞬いて 瞬いて (再生)

奴等にわたしのなまえがわかるか?

わたしを名づけた母はいずこか...

空は至って健全で

気違いなのはわたしのほうかな

空にいるのは気違いで

下にいるのが健全なのかな?

術後にわたしは烏になった

麻酔が切れても烏のままで...

烏独唱

烏独唱

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-02-24

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