まって、いかないで
きみの吐息を追いかけたら、月まで届いた。
冬からはだれも逃げられない。孤独が、寂しさが、どこまでもつきまとうように。
ゆめのなかでだって、影にひそんでいつでも脳を侵す機会をうかがってるよ。視界のすみに映りこんだ本のページ、めくれる音、天窓からさしこむひかり、どこからともなく聴こえるこわれたオルゴールの奏でる曲、なつかしさは心臓にこびりついている。
追いかけることしかできない衛星にはお似合いの孤独です。
影、きみの影、きみの吐息、もうすぐ春がきて、それさえ失う、きみの在り処。
きみを殺さないで。死にゆく冬の気配が、春の種を落とすまで、あと
まって、いかないで