日曜に雨が降ってるとうれしくなるんだよね

憂鬱だ。どことなく憂鬱だ。でもその憂鬱に支えられてきたときもあった。そんな夢想にからだをあずけて、あずけられたからだはおもむろに窓のほうへと足を進める。夢想の余韻で視界がほのかに白んで見える。夢想はいつだってわたしとわたしだけの世界を一縷の糸のように儚げながらも繋ぎとめてくれる、即効性の合法麻薬だ。おぼつかない手つきで窓をあけ、網戸も半分だけあける。黒雲が空を奔走し、汗か涙かわからない液粒をほとばしらせている。興奮する。理想の週末だ。憂鬱と興奮は紙一重だ。わたしはいま憂鬱だ。どことなく憂鬱だ。でもその憂鬱を憎みながらも愛している。そうわたしとおなじように想いながら夢想と現実の狭間を徘徊しているひとがこの果てしなくつづく空の下に、わたしのほかにもいるのだろう。きっといる。憂鬱を共有している。しらないだれかと、運命共同体。興奮する。憂鬱なのに興奮する。憂鬱は純白だ。憂鬱は快感だ。憂鬱は不器用だ。憂鬱は罪だ。憂鬱は...。あの空が羽織る灰色の外套とわたしを現実から遠ざける夢想癖のせいで、雨を愛さずにはいられないからだになってしまった。わたし、どこかおかしいんです。憂鬱なのに興奮するなんて、変態みたいじゃないですか。でもわたしとおなじ異常性癖をもつひとがほかにいるとおもうと...。ぞくぞくしてしまう。つぎはいつトリップできるのかしら。トリップしたまま、消えちゃいたいな。ああ、はやく生まれるまえにかえりたい。だって、日曜に雨が降ってるとうれしくなってしまうんだから。

日曜に雨が降ってるとうれしくなるんだよね

日曜に雨が降ってるとうれしくなるんだよね

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-02-16

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