大麻

「思いっきり幸福になれたらって思うんだよね。ほらさ、さっきまでの憂鬱が全て吹き飛ぶみたいに。頭がズキズキして重くて、駄目なことだって事は分かってるんだけど、幸せになれるならそれでもいいかなって。いや、ないよ。ない。まだ一回も。別に何回もやりたい訳じゃないよ、幻覚も見たくないしね。でも、まあ一回やってみて、気持ちよくなってまたやってしまうなら、それはそれでいいかなって。ほら、テレビでよくやるでしょ。やってみたいって思わない?本当に?僕は近くにありさえすれば、もう何度やってたか分からないよ。例えばさ、車を運転して、ほら無性にイライラしてくるんだよ。なんでこんな人生なんだ?って、家族も友達もロクなもんじゃないし、でもそんなところに存在してる自分に異様に悲しくなってさ。そんな時にさ、魔法の粉が近くにあったら、良いんじゃないかって思うよね。一回くらい。ああ、そう、一回じゃなくても良いんだけどね。」

僕の前にずっと彼が居続けて、休ませてくれないから、僕は質問に応え続けるんだ。マイクに僕のよだれがつきそうだったけど、それでも彼は手を下げないんだ、笑っちゃうよね?

大麻

大麻

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-02-14

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted