海とかもめ

秋津 澪

 かもめは 海を愛していたが、
 海はかもめを 愛さなかった。
 しろき陽光(ひかり)を、無防備に浴び、
 わが身をつつむ 広大無辺に、
 ()をひりつかせて 飛翔()ぶ白鳥よ。

 海のおもては ひらかれた胸、
 ただ空のために、投げ出され、
 むくわれぬ恋に なみうつ裸体、
 かれが青いろ 映すのが救い。
 されど真白き かもめもまた
 つめたき海に 墜落したく、
 いとしき胸に、泣きついて、
 せつなき情で しがみつき、
 母なる胸で、睡りたかった。

      かもめは 海を愛していたが、
      海はかもめを 愛さなかった。

海とかもめ

海とかもめ

  • 韻文詩
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2020-02-12

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