四季彩/colorful

千梨

掌に収まった、本の弾力を確かめている。
線香の白煙と枯葉化粧が、彼岸の時刻に触れている。

鈍い空が、どこか遠くでクラクションの響きを抱き留めた。
日光で膨らむ布団、肌触り、
寒さに感化、眠気を揺り起こす。
ホットミルクの湯たんぽと、
弄ばれた舌先のチョコレート――なめらかに蕩ける。

無言の部屋には、雑多で曖昧な音が満ちている。
いつの間にか、青色で、瞳萌える空気。
いつの間にか、薄墨色、滲み霞む涙。

ぱらんぱらんは雨のステップ。
閉じた意識が惹かれていく、
グラスが奏でる音。
かららん、かららん……かららん、かららん……
孤独な氷の浮島は、ひと時の間の生命。

沈んで、浮かんで、また沈み、
消えていく四季彩。
淡くて、眩しい、希薄な君は、
幸福な人にほど気づかれない、
哀しい君だ。

四季彩/colorful

四季彩/colorful

日々の色彩、幽かな君。

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2020-02-11

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