生きる理由
戦争。
特攻隊、出陣前夜。
明日出陣する兵士と、それを代わってやるという兵士の、最期の語り。
それぞれに、何を思うのか。
あなたが、生きる理由は、なんですか。
なぁ、お前さ 明日出陣だったよな
それ、俺が変わってやろうか?
いや、なんでって言われても(笑)
まぁ…そうだな
生きてる理由が、見つからねぇんだ
俺さ、広島から来てるんだけど
むちゃくちゃ田舎でさ~
あのクソ田舎で、畑耕したりして
嫁さんと子供と笑って生きてくのかな~って思ってたところにこの戦争だろ(笑)
しかもこの若さだしさ
え?嫁さんいんのかって?
嫁…にしたいっつーか、するつもりだったっつーか
国にさ、幼なじみがいるんだよ
そいつ生まれつき足が悪くて、引きずって歩いてんだ
ちいせぇ頃から俺、意地悪ばっかして、
それでも、いつも泣きながら、足引きずって追いかけてくんだ…そいつ
あんな足じゃ誰も嫁にもらってくれねぇだろうと思ってよ
俺が、もらってやろうとしてたんだ…
いや、約束なんかしてねぇよ?
この戦争から帰ったらって…
なのに、、、広島にピカドン落ちちまった
広島は壊滅状態らしい
あいつ足悪いからさ、きっと逃げ遅れたはずなんだ
みんな、てめぇのことだけで精一杯だからな
あいつを守るために戦争に出たっつーのに
まさか守るやつのところが狙われるなんてな
ほんっとに…神様はいんのかねぇ
だからさ…もう、生きる理由が見つからねぇ
お前、国に大事な人いんだろ?
いつも写真、大事そうに眺めてるもんな(笑)
待ってくれてる人がいるなら、
帰りたい人がいるなら、お前は生きろ。
じゃな、明日の出陣には俺が行く。
俺の分まで生きろとか言わねぇから(笑)
明日、せめて晴れるといいな。
あいつのところに、真っ直ぐ逝けるように
生きる理由