ポケットに10ドル

マチミサキ

先輩の家に来ています。

とはいえ
奴はいない。

居るのは
お手伝いさんでもあるお婆さんと犬のみ。

近くまで来たので
まあ
寄ってみただけです。

『今は何処に居ますって?』

『最近連絡が無くって解らないのよ』

一体あの人は何処で何をしているのやら。

旅立ち直前に書いたと思わしき
残されていたメモ

特徴のある字なので
すぐ解りました。

とてもきちっとした字体とは
いえないのに
何処からか拾ってきたような
紙を几帳面に切り揃え
メモ用紙にしている。

幾つかのメモから推理するに
おそらく【スエズ○河】ですな、コレは。

エジ○トかなあ

大丈夫なのでしょうか。

一時期ほどではないとは
思うのですが
たしかギザやカイロで
現在レベル1だったような。

さらにシ○イはレベルが跳ね上がるはず。

旅人に聞いてはいけない事なのかも
しれませんが
本当に
何故行きたいのか
その理由がまったく解らない。

今頃は何をしているのでしょうか。

それでも
同じ地球の何処かで
今も息をしているとおもうと
なにか不思議な感じで。

さらに
気になるのは
【Ihave ten dollars in my pocket】
の殴り書き


なんだこれ。

何かの暗号でしょうか。

・・・犯罪の匂いがする。

・・・のは気のせいだと。


追記

結局
あの人は荷物は無くとも
一番大事なものを持っている

と、いうより
掻き集める

そんな気配がある。

それは【運】です。

好き勝手自分流なのに
何故か
大概の人からは好かれる

なに言ってんだ!
アイツなんて大嫌いだ!

って
言っていた癖に
いつの間にか一緒に出掛けていたりするし。

『え?!いつから仲良くなったの?』

と、聞くと

元々仲悪くないぞ

ええ~

ついこの前まで天敵くらいの勢いで
貶していたのに・・・

何故なのでしょう

先輩に人徳的なものがあるとは
とても思えないのですけど。

そういった人間関係に伴い
幸運を熊手でザリザリと
無造作に雑に集めまくっている感じ。

うーん、
私と違って
本当の【頭の良さ】を持っていて
それに結局は皆が惹かれる
と、いうことなのかなあ

認めたくないが
やはり
そうなのかもしれない。

私とかは
一度
敵認定すると
ほぼ終生そのままですから。

あーでも

出会った当時は
互いにぶっ殺してやる、と
かなり本気で対立しあっていましたから
私も人の事はいえないのかな。

執念深い上に
僻み根性が物凄いので。

なんだかんだ言って
今でも
当時を思い出すと
突然頭をかちわりたい衝動に
襲われることもあったりして。


きっとそんな性格だから
幸運もスルー

あー
よくある転生ものでのシチュなら
幸運に全振りしたい。

結局最後は運。

運の悪いのは
損ばかりになる。

せめて
貯めているとは
信じたいところなのですが。

ポケットに10ドル

面白かったのは
おそらく
荷物忘れ防止のメモだと
思うのですが

8品くらいしかない。

嘘だろマジか…!

ってくらい荷物がない。

ここから
パスポートだのチケットだの
代用の効かないものを抜くと
それこそ片手くらい。

その中のひとつ
○目覚まし
が三重丸で囲まれている

いやいや
他にもっとあるでしょ。

そもそもスマホじゃだめなの?

腕時計のアラームとか?

それとテーピングと絆創膏って。

本当に何をしに行っているのやら。

ポケットに10ドル

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2020-02-11

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