発明の部屋

フッツ

机に置かれた ビーカーの中で
生まれたばかりの蝶が羽ばたく。
時間だけが止まった薄暗い部屋
壁に掲げられた砂嵐のモニターと
空回りする換気扇
吸い殻で満たされた灰皿
張り巡らされたメモの数々。
小さな窓から入り込む月明かりが
かつての情熱を淡く浮かび上がらせる。

見物客を乗せた列車は、とっくに走り抜けて
近未来へ行ってしまった。
届かない拍手と聞こえない賞賛の声が
静かな汽笛となって響く部屋に
忘れ去られた蝶たちは生まれ、ただ舞い続ける。

発明の部屋

発明の部屋

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2020-02-11

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