タール

秋津 澪

 けむたいへやの しろっぽけた壁が、
 四方八方から、うすぐらい顔で私を凝視(みつ)める。
 それは追憶の染み、ヤニで黄ばんでいる。
 在りし日の叫び、そやつがもの憂くたおれこむ。
 灰いろのかすかな靄から、まっしろい腕が ほのかにこぼれ、
 なまめかしげに ほねのないそれ、うねりなみうつ。
   …貴様もタールで、染めてやろうか。雨音は奔り去った。

タール

タール

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • ホラー
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2020-02-10

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