なごり雪
身体だけが馴染んで 心がSOSを発している
2ヶ月目の校舎と教室のなか
わたしの席だけ空調がきかない
気がする 気がするだけ
体内で絶えず慟哭する 懲役12年の魂
わたしすら知らない顔をわたしはきっともっていて
そのフェイクニュースに自由を拘束されているのはわたしだけ わたしだけ 怖いよ
ここではうまく呼吸ができなくて
うまく呼吸をしてるのは保健室にいるときのわたしだけ
いつものわたしはズルくないから
すこしズルをしないと ズルくないわたしを保てない
帰り道の空が澄んでみえない
金曜と月曜を天秤にかけて 懺悔を図る夜
嘘つきから卒業できずに 卒業なんてできるのかな
こんど先生に言ってみようかな
「席、移動してもいいですか?」
なごり雪