セッション

渡逢 遥

一瞬すらだいじにできないのに、永遠に惹かれるなんていわないでほしい。じぶんの存在に保険をかけないでほしい。みえない顔をみえないままにして、そのうち自然解凍されるだろうなんておもわないでほしい。(ほこり)の詰まったコントローラーじゃ対戦だってできないよ。あなたが、あなたの世界が陥没(かんぼつ)していく幻想に酔いしれないで。溺れてかないで。世界のほうはまだ発色したがってるんだから、勝手に透明にしないで。詰まった埃をすべて落とせばほら、意志はいつだってとめどない虹色を(はら)んでる。わたしはあなたのことばがすきだった。こころで吃っていようが、それは芸術(あなた)の香辛料だよ。あなたの色をわたしは観たい。ことばと向き合うということはあなたと、そしてわたし自身とも向き合うということ。それをおしえてくれたのは、あなたじゃない。そこは毒魚が群棲(ぐんせい)してて危ないから、ねえ、はやくあがってきてよ。釣りに夢中になっていた理由、おもいだせないの?過程をだれよりも愛してくれたのはあなたじゃない。なんで裸でそんなところにいるの。また、わたしを彩る詩を紡いでよ。こんどはわたしのかわりに伴奏をして。沈黙も詩だとおしえてくれたあなたなら、楽器を操ることだって嫌ではないでしょう?だからはやくあがってきて。まいにち迎えに来てるんだから。こころの指先がまたまじわったら、眠れない夜に歌詞のないデュエットをしましょう。

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  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2020-02-08

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