男に抱かれたい

暗がりの部屋の中で、俺はお前を抱いていた。
寝静まった静寂の街では、窓は雨音だけを響かせる。
お前の澄んだ瞳が俺をとらえる。
今夜、この部屋から逃げられやしないだろう。

俺の首に手を回し、
「私のこと、好き?」だなんてお前は聞く。
あのリズムが、また二人の間に刻まれる。
俺は壊してしまいたいのだ。俺の核を正確に撃ち抜いてしまいたい。

愛にも死というものがあるなら、どのように愛を燃やせばいいのか。
心と身体を切り離して、愛を分解してみよう。俺はそんなことを考えていた。
不意にバイクのエンジン音が轟く。
そのスピードに、俺はきっと憧れていた。

俺は、男に抱かれてみたかった。

男に抱かれたい

男に抱かれたい

  • 自由詩
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-02-08

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