男に抱かれたい
暗がりの部屋の中で、俺はお前を抱いていた。
寝静まった静寂の街では、窓は雨音だけを響かせる。
お前の澄んだ瞳が俺をとらえる。
今夜、この部屋から逃げられやしないだろう。
俺の首に手を回し、
「私のこと、好き?」だなんてお前は聞く。
あのリズムが、また二人の間に刻まれる。
俺は壊してしまいたいのだ。俺の核を正確に撃ち抜いてしまいたい。
愛にも死というものがあるなら、どのように愛を燃やせばいいのか。
心と身体を切り離して、愛を分解してみよう。俺はそんなことを考えていた。
不意にバイクのエンジン音が轟く。
そのスピードに、俺はきっと憧れていた。
俺は、男に抱かれてみたかった。
男に抱かれたい