原発葬送の唄
《 原発葬送の唄 》
縄文の断層が絶叫し
海が裂き砕け
風が泣き狂い
溶解し炎上した原子炉の修羅がのたうつ
太郎の屋根に
次郎の夜に
花子の夢に
放射線がさわさわと降り注ぐ
いわき平に
安達太良山に
阿武隈川に
猪苗代湖に
安積野に
福島の全てを越えて
又三郎の学校に
富士のふもとに到り
放射能が降り積もる
カムイの地が核に占領された刹那
人民に対する国家テロが、いままた発動した一瞬
世界史に烙印されたFUKUSHIMA
この地こそが
いま、この時
分解の最終過程に佇む
神経が呪縛する
言語が氷結する
自尊が暴虐される
侵略され処刑され拘束され晒され詐取され強奪され差別され嘲笑され収奪され犯され簒奪され蹂躙され殺戮され占領され同化され支配され
赤裸々に搾取され続けた私達の歴程よ
私達のひとりひとりよ
ひとりひとりの慟哭よ
ひとつの赤涙よ
歌は止み
花は散り
屈辱の杯に毒が注がれ
絶望の馭者が疾駆する
死の共鳴が刹那を奏でる
さあ、もはや
アテルイよ、出でよ
清原 、藤原 、義経、 甦れ
将門よ 、起て
名もなき反逆の人々よ
今こそ葬送の祭司となれ
辺境の民よ
エミシの民よ
縄文の民よ
漂泊の民よ
北方の樹々の息吹よ
南方の潮の流転よ
まつろわぬ人々よ
異民の君よ
ピリカよ
弱き者達を率いて山脈の奥深き楽土に密め
豊潤な骨盤に奇跡を孕め
白き乳房で希求を繋げ
青き狼達よ
革命の山河に季節と共に雌伏せよ
さあ 、もう 、5月 、青龍が翔びたつ
いま 、この時 、カムイ革命が始まったのだ
草也
労働運動に従事していたが、03年に病を得て思索の日々。原発爆発で言葉を失うが15年から執筆。1949年生まれ。福島県在住。
筆者はLINEのオープンチャットに『東北震災文学館』を開いている。
2011年3月11日に激震と大津波に襲われ、翌日、福島原発が爆発した。
様々なものを失い、言葉も失ったが、今日、昇華されて産み出された文学作品が市井に埋もれているのではないかと、思い至った。拙著を公にして、その場に募り、語り合うことで、何かの一助になるのかもしれないと思うのである。
被災地に在住し、あるいは関わり、又は、深い関心がある全国の方々の投稿と参加を願いたい。
原発葬送の唄