上澄み境界
繭に籠城して声の平熱が上がる。変色。変形。声で声が梳かされる。二価の強酸に"Nice to meet you"の原型を奪われていく。わたしはだれ?
「たすけて、たすけて。」
ここはどこ?
絶えず歪む。歪まされてる。おかしくしたのはいったいだあれ?どこが天井かわからない。どこも天井かもしれない。鱗片がゆらゆら。ゆらゆら。ちぎれた記憶が繋がらない。やわらかさも逃げていく。もはや慣れ親しんだ文法も思い出せない。ゆるやか、ゆるやか、ゆるやかに。崩壊していくこの感じ。
「ことばの愛情表現なんて、もう信じないよ。」
「つぎはお互い首を切り落としてから逢おうね。頭がなければ、からだも使わなくて済むでしょう?」
天井はなかったけれど、境界は確かにあったんだ。
さよなら、また来世。
上澄み境界