シューティング・ハート  ~彼は誰時(カワタレトキ) Ⅳ 射干玉の髪の姫君


 文化祭が近い。
 校内は活気に満ちており、忙しない中にも気持ちの良い高揚感があった。

 体育館横からグラウンドに下りる石段の中程、踊り場に座り、模擬店の配置に悩んでいる速水介三郎の傍で、お弁当を食べ終わった成瀬愛美が相槌を打つ。
 今泉藤也は介三郎を挟んで反対側の二段上に座り、パック牛乳をチビチビと飲みながら、介三郎の肩口から手元の学内見取り図を覗き込んでいた。
 模擬店は例年、教室棟と講堂、体育館に分散して振り分けるが、今年は模擬店出店の希望がいつもより多く、すべてをつつがなく稼働させたい生徒会副会長としては、場所の設定と動線を脳内フル回転で考えているようだ。
 その上、毎年、文化祭当日のグラウンドは駐車場として使っているが、他に活用法はないものかと、密かに目論んでいるようである。
「介三郎は、お仕事好きだよね」
 呆れて笑うしかないと言わんばかりの巽卓馬と、仏頂面ながらも特に嫌そうではなくただ無言で空のペットボトルを弄んでいる梶原常史は、三人を見下ろす石段の一番上の段に腰を下ろし、ぼんやりと時間が流れているのを感じていた。
 介三郎と愛美、卓馬、梶原の所属するバスケット部も準備に入っていた。
 毎年恒例、男女バレー部と女子バスケット部と合同で、体育館一階コート全面を使った段ボール迷路を作る。設置は文化祭前日、毎年使っている段ボールを補強しながら組み立てていく。例年のことなので、それほど負担には思わない。
 介三郎と愛美は生徒会役員の為、本部の仕事がある。
「タクは、バスケ部だけか。じゃ、しっかり動けるな」
 介三郎が仰ぐようにして卓馬を見上げた。
 卓馬はこれから三つ目の焼きそばパンを開けようとしていた。
「俺は大丈夫だけど、カジは無理だね。軽音部から助っ人頼まれてるんだよな」
 仏頂面の梶原を尻目に、卓馬が満面の笑顔で焼きそばパンを頬張る。
 ボーカルがいない軽音部から、再三バスケ部との掛け持ちをせっつかれていた梶原は、一回きりの約束で文化祭の協力を承諾した。
 藤也は半信半疑だ。
「とうとう受けたのか、カジ。あんなに嫌がってたのに」
 嫌がり方が半端なかったのだろうか、藤也の反応が小気味いい。
「仕方ないだろ」
 顔をしかめて睨む梶原の横で、卓馬は笑ってからかうように説明する。
「そりゃ、受けるよ、藤也。日下先輩に頼まれたんだから」
「?」
 日下陽司は聖蘭学園とのバスケの練習試合直前に何者かに襲われ、重傷を負った。入院が長引き、最近ようやく一般病棟に移った。
「軽音部の八束さんと日下先輩が幼馴染でさ、日下先輩のたっての頼みって訳さ」
「断れなかったんだ。だから、仕方ないんだよ」
 梶原が片頬を膨らませて呟いた。
 日下に面会できると聞いて見舞いに行ったら、八束に捕まってしまったのだ。梶原は、あくまでも本意ではないと強調した。
「梶原くんって、ボーカル頼まれるくらい歌が上手かったんだ」
 愛美が何やら想像しながら梶原を見上げると、藤也が意地悪く、
「これでまた、数人の女が泣くんだな」
 やれやれと言わんばかりの藤也の口調に噛みつくように、梶原は憤慨する。
「知るか、そんなこと」
 そんな会話の最中も、介三郎の頭は模擬店の配置に苦戦中である。
「藤也は写真部だよね」
「そうだよ、部活はパネルの展示。クラスは、天体写真のスライド流しながら星の話をするとか言ってたな」
「星のスライドのデータは、今泉くんと椎名さんが提供するって聞いたわよ。できればプラネタリウムっぽく演出したいって」
 藤也と同じクラスの愛美が付け足す。
「・・・抜けてることが山のようにあるような気がする」
 弱気な発言をする介三郎に、藤也は無慈悲な流し目をくれた。
「悩むほどじゃないだろ。二学期入ってすぐの体育祭を乗り切ったんだ。文化祭くらい軽いだろ」
 生徒会副会長で運動部所属の介三郎が走り回っていた光景が記憶に残っている藤也とは裏腹に、介三郎の視線は定まらない。
 何かを探していながら、何も探し当てられないという表情だ。
「体育祭――、記憶がないぞ」
 思わぬ返事に、藤也が眉をひそめる。
「お前、苦労したことすぐに忘れるだろ。あれだけ綾にこき使われても懲りないわけだ」
救いがないと言わんばかりの口調に、介三郎は仏頂面を返した。
「別に、こき使われてる感じはしないけど」
「無自覚かよ。幸せな奴だな」
「藤也、それって、幸せなのか」
 卓馬が首を傾げたが、藤也は肩をすくめてあきらめ顔をして、素っ気無く答えた。
「たぶん、な」
 納得できない様子の介三郎を尻目に、愛美が気付いた所を指さしながら実際の景色を確認する。間近にある可愛い巻き毛にドギマギしながらも、そのやり取りだけで目尻を下げている介三郎を見ると、やはり幸せなのかと納得する。


 最初に気付いたのは卓馬だ。
「女の子だ」
 梶原の肩に寄り掛かるようにして立ち上がる卓馬のその呟きに、梶原が視線を向けた。
どこから迷い込んだのか。
 少し後ろを気にしながら勢いよく走ってくる。
「なんでこんな所に、女の子がいるんだ」
 立ち上がりながら、さして興味のない口調で続ける梶原の足元で立ち止まった少女は、少し青ざめた表情で丈高い二人を見上げ、二、三歩後ずさりする。
「どこから来たのかな」
 梶原の足元を覗き込むようにお辞儀をする卓馬に、少女は反応できない。
 見下ろしている梶原の視線を見つめたまま、少女は凍り付いているようだ。
 どう反応すればいいのかわからない様子だが、怖がっているという様子はない。
 ただ、梶原を見つめている。
 梶原も、少女を見下ろしたまま動けずにいた。
「介三郎、迷子の女の子がいるよ」
 石段の下にいる介三郎に大きく声をかける卓馬の一声に反応したのは、少女の方だ。
「介三郎がいる」
 明るい声が響いた。
 呼ばれて仰ぎ見た介三郎は、目を見張った。
「あれ、お姫さん。どうしてこんな所に――」
 思わず叫んで身構えた。
「介三郎がいた」
 花が咲くように一転満面の笑顔を浮かべた少女は大きく叫び、石段を駆け降りるが、途中でもどかしくなったのか、かなり石段を残してダイビングし、これまた勢いよく介三郎に飛び込んだ。
「介三郎だ」
 首にしがみ付いて満面の笑顔を見せる小さな少女を抱きとめながら、その顔を間近に覗き込み、焦った。
「どうしたの、こんな所で。まさか一人じゃないよね?」
 それが一番気掛かりなようだ。
 辺りを一通り見渡すと、片手に握りしめていた書類を藤也に投げ、少女を抱えたまま石段を登り始めた。
「どうした、介」
 介三郎を追いかけるように続きながら、藤也が問う。
 愛美も同様に続くが、状況はわかっていない。怪訝な表情で事の成り行きを見つめながらついていく。
 石段の上で、上がってくる介三郎を見下ろしている梶原と卓馬も、介三郎が何をしようとしているのかわからない。
 あっという間に目の前まで駆け上がって来た介三郎を、丸い目で凝視して、卓馬は一瞬言葉を失った。
「なんなの、介三郎、何がしたいの?」
「タク、彼女、どっちから来た?」
 畳み掛けるように珍しく切迫した口調で問う介三郎に気圧されて、卓馬が怯んだ。
「あぁ・・・、あっちだけど・・・」
 事の成り行きを怪訝な表情で見つめている梶原の向こうを指さした。
 介三郎は少女を肩口に抱きとめたまま、卓馬が指さす方向を見つめた。
 今、立ち尽くしているそこから右手側は、眼下のグラウンドはもちろん、その向こうに小さく見える木立の先にある幼稚舎の屋根の突端、その方向に続く道も見える。
 だが、卓馬の指した方向は違った。左手側、教室棟へ続く林の奥だ。
「林の向こう・・・って・・・」
 介三郎は意味がわからず、しばらく茫然としてしまう。
 その両腕に抱きかかえるようにしている少女はキョトンとした表情で、大きな瞳を見開いて介三郎の横顔を見つめ、首を傾げている。
 四棟ある教室棟と体育館や講堂の間には、原生林に近い林がかなりの面積残っている。それよりも奥に行くと、鷹千穂学園初等部と中等部があるが、かなりの距離があり、途中分断するように川が流れている。もちろん学園の敷地は高い塀で区切られていた。子どもの足で容易な道ではない。
 介三郎は、同じ目線の奇麗な黒い瞳をまじまじと覗き込んだ。
「何かあったの? 本当に一人なの? ここに来てることは、誰か知ってるの?」
 矢継ぎ早に問いかけても、伝わっているのかどうか怪しい。
 無言で問い返すような黒曜石の瞳を見つめて一拍反省すると、ゆっくりと、かみ砕くように言い直した。
「いつも、一人で動いちゃダメだって言われてるでしょ? 何があったの?」
 困ったような顔を見せながら、柔らかく問いかける介三郎に、一瞬安心したような表情で少女は何かを言いかけて、止めた。
 介三郎が、その強張った表情に気付いて傍らを見回すと、ともかくその他の視線が近すぎる。
「奇麗な黒髪ね」
 巻き毛の愛美が、背を覆う豊かな黒髪を羨ましそうに眺めている。
「華奢だよね。折れるんじゃない」
 卓馬もほぼ同じ目線の小さな顔を丸い目で繁々と眺めている。
 梶原でさえ、少し離れた場所からその光景を見ていた。
「介ちゃん、この子、何。お前の隠し子?」
 藤也が、少し高い位置にある少女の顔をマジマジと眺めている。
 真っ白な肌、ぷっくりしている頬がほんのりとピンクだ。花弁のような唇が、緊張を物語るように結ばれている。仕立てのいい制服から伸びる腕や足は細く、介三郎の首に回している手の平は透き通るように白く小さなモミジのようだ。
 そして、背を覆うように真っ直ぐ伸びる長い黒髪の艶やかさが目を引いた。まるで一本一本が意思を持っているかのように少女の身を包み、陽に照らされて深い碧の光を帯びる。
「で、いつまでそうやって抱っこしてるの、介。っていうか、慣れてるね、お前」
 いつも愛美相手にオタオタしている介三郎に似合わず、小さな女の子を当たり前のように抱き上げたまま話をしている。
 少女も、介三郎の左腕にちょこんと乗った形で安定している。
「たいしたことないよ、お姫さんは軽いから。ね」
 同意を求めるように小さな顔を覗き込んで笑顔を見せると、満面の笑顔が返ってくる。
「ウチの幼稚舎の制服よね、この紋章。どこから入って来たんだろう」
 少女の胸に付いている鷹の紋章は鷹千穂学園幼稚舎のものだ。そして、それとは別に、少女はブラウスの襟元に、小さなクマのブローチを付けていた。
 クマの胸に大きめの黒い石がはめ込まれている。
 それが一瞬光ったような気がして、藤也はブローチに手を伸ばしかけたが、やめた。
 少女が、近づく藤也の手を見つめ、硬直した身体で退いたからだ。
「大丈夫、触らないよ」
 藤也は宣言するように手の平を見せながらも、吟味するように見つめてしまう。
 極上の絹と黒曜石でできたような少女が何者なのか。
 介三郎のこの反応が何なのか。
 愛美も、いつもの介三郎らしからぬ様子を、息をひそめるようにして見ている。
 それらの視線を背けるように首にしがみ付いてきた少女の背を、介三郎は軽くポンポンと叩いた。
「大丈夫だよ、お姫さん。皆、俺の友達だから。綾とも友達だよ。だから、怖がらなくていいからね」
 顔を上げて、不安そうに介三郎を見つめている少女の答えを待つようにゆっくりと笑顔で話しかけると、少し落ち着いて笑顔になった。
 介三郎には全幅の信頼を置いているようだ。
「綾の知り合いなのか」
「そうだよ、藤也。初めてだったっけ。綾の所の『お姫さん』だよ」
 藤也にそう伝え、少女にももう一度笑って頷いて見せると、少女は藤也を伺うようにまじまじと眺めた。
「へぇ、例の女の子か・・・」
 自分の目線より少し高い位置にある黒曜石の瞳を真っすぐに見つめ、藤也は感嘆符を打った。
「思ってたよりも可愛いな。介三郎の貧困な説明じゃ、ここまで想像できなかったぞ」
「俺、ちゃんとカワイイって言ってたよ。藤也」
 反論する介三郎を聞き流し、藤也は少女から視線を外さない。
「で、名前は?」
 どんな名前か若干ワクワクしながら問う藤也に、間抜け顔が返ってくる。
「名前?」
「まさか、『お姫さん』じゃないだろ。名前、なんて言うんだ」
 すかさず真顔で介三郎を仰ぎ見ると、いつもの間延びした顔が返答に窮する。
「お姫さんは・・・、『お姫さん』だよ。藤也」
 そうだよねと、介三郎は同意を求めるように少女に笑顔を向ける。
 少女は一瞬困ったような顔を見せながら、おずおずと頷いた。
 改めてまじまじと見た。
 奇麗な白い肌と細い手足、見事な射干玉の髪がその身を覆うように真っすぐ腰まで流れている。
 同じ様に栗色の髪を、背を覆うように長く伸ばしている鷹沢綾と似ていなくもないが、質がまるで違う。
 少女はまるで、極上の日本人形に命を吹き込んだ上に、淡い光で包んだように艶やかで、だがどこか儚い雰囲気があった。
「何なの、藤也。この子、綾のナニ?」
 興味津々で介三郎の肩越しに覗き込み、卓馬が笑顔を振りまいた。
 気を引いたつもりだろうが、少女には逆効果だったようだ。ビクリと震えて、また介三郎の首にしがみ付いてしまった。
「こら、タク。怖がらせるなよ」
 介三郎は、卓馬から隠すように背を向けたが、そのくらいでは引き下がれない。
「だって、気になるじゃん。介がそんなに女の子と密着してて平気なんだからさ。藤也は知ってるんだろ、この女の子」
 ズルいと言わんばかりの口調で、卓馬が藤也に八つ当たりする。
 当の藤也は、意に介さぬ表情で、少女から視線を外さない。・・・というより、やはり少女と介三郎に興味が集中している。
「可愛い子がいるとは聞いてたんだ。鷹沢で育ててるって・・・。介には慣れてるんだな」
 うわ言に近い口調で呟く藤也から少し離れて立っている梶原が、いち早く気付いた。
「誰か、来るぞ」
 その声に反応して、梶原の視線を追うと、数秒遅れて林の向こうから近づいてくる人影が分かった。
 卓馬が示した「少女が来た方向」からだ。
 上手く茂みを避けながら、慌てた様子の女性が走って来る。
 動きやすいジャケットにパンツ姿。長い髪を左肩口で束ね、首から名札を下げている。
 名札には、『粟根』とある。
 身のこなしは尋常でない。
「姫様。急に走り出されては困ります」
 介三郎と同じ高さの小さな顔を見つめて懇願する女性は、青ざめた顔色で少女に手を伸ばした。
 怒られると思ったのか、少女は介三郎にしがみつき、離れないと決心しているように身体を固くした。
「申し訳ありません。姫様をこちらに・・・」
 微かに咎めるような口調を含む葵の言葉に、介三郎は困ったような顔を見せながらも、少女を守るように両腕で抱えて、ペコリと頭を下げた。
「すみません、初めまして」
 と、いきなり自己紹介を始めた。名を名乗り、簡単なプロフィールを述べ、何故ここにいるのかを、かみ砕くようにゆっくりと伝える。
 拍子抜けする言動に、愛美と卓馬は怪訝な表情で介三郎を見上げたが、藤也は少し引いてこのやり取りを眺めていた。
 あっけにとられたように真っ直ぐに介三郎を見つめて聞いていた葵が、一瞬、間をおいてプッとふき出した。
「貴方が・・・」
 葵は聞き取れない程の小さな声で笑っている。
「介三郎、葵は私を守ってくれているの」
 顔だけ上げて少女が介三郎を見上げると、やっと介三郎の腕の力が緩んだ。
「そうなんだ。俺は初対面だから、鷹沢の人かどうかわからなくてさ。でも、じゃあ、どうしてお姫さんは逃げてるの」
 素朴な疑問を向けると、葵もまた、少女からその答えが返ってくるのを待った。
 何を答えても怒られると思っているのか、少女はなかなか答えようとしない。
 見上げる形で見つめていた藤也の視線は、しばし少女の襟元のクマに注がれていた。
 光の加減なのか、黒い石の中心で赤い光が点滅しているように見える。


「何をしている」
 どこから聞きつけたのか、綾が駆けてきた。
 顔面は蒼白で、葵が来た方向とは真逆の、正門や中央館がある方角だ。口調も切迫している。
 介三郎の首にしがみついたまま、少女が満面笑顔だ。綾に一生懸命、介三郎と会えたことを嬉しそうに伝えている。
 ただ、綾の形相は穏やかではない。
「何故、こんな所にいるんだ」
 ぷっくりとした頬に手を伸ばし、確かめるように撫でると、その手で襟元のクマのブローチを触るような仕草をし、間近にある介三郎の顔を見上げた。
「ごめん、よく分からないんだ、綾。俺も偶然ここにいただけだから」
 察して介三郎が答え、
「綾こそ、どうしてお姫さんの場所がわかったの。どこかから見てたのか」
 間近ではしゃぐ少女を落とさないようにしっかりと抱えて、落ち着くようにトントンと背中を叩いてやりながら、視線は綾に向いている。
「いや、私には分かるようになっている」
 答えながら、腕にはめている時計のような物をいじる。
「なるほど。クマが発信機か」
 納得顔で小さく呟いた藤也の言葉を聞いて、苦笑を浮かべた綾は、その事については何も返さず、少女を抱き上げたままの介三郎に視線を向けた。
 背後から答えが返る。
「申し訳ありません、お嬢様。突然走りだされたかと思うと、こちらの方へ――」
 焦りと困惑が混在したような顔を見せ、葵はただ謝るだけだ。
 綾が咎めるように少女を見つめると、いじけたように口を尖らせて少女は反論する。
「だって、変なんだもの」
「変?」
「わからないけど・・・、変なんだもの」
 徐々に声は小さくなり、同様に首を縮めて小さくなった。
 意味がわからず、次の答えを待っている綾に、葵が言葉を挟む。
「確かに、誰かに見られている節がございます」
「見られる?」
「はい、――」
 綾は葵の答えを待とうとして、止めた。
 ここにいるのは、介三郎だけではない。
「その件は、後で聞こう」
 先に葵に知らせに帰るように指示すると、綾は少女に手を差し延べた。
「それよりも、姫、下りなさい。戻るぞ」
 介三郎の腕から抱き取ろうとする綾に、少女は不満そうに口を尖らす。
「え――。せっかく介三郎と会えたのに、もうお別れなの」
 と、イヤイヤをするように介三郎の首にしがみ付く。
「何を言っている。遠足の途中でお前がいなくなって、幼稚舎はお前を探して大騒ぎだ。何かあったらどうするんだ」
 綾の口調は怒っているというよりも、心配で余裕がないという感じだ。
 それが感じられるのか、少女は首をすくめて黙ってしまったが、それでも介三郎から離れがたいようだ。
 擦り寄って来る少女を宥めるようにあやして、介三郎は綾を促した。
「いいよ、綾。俺も一緒に送っていくよ。ちゃんと謝れるよね、お姫さん」
 すぐ傍の奇麗な瞳に笑いかけると、小さな歓声が返ってくる。
「介三郎、大好き」
 呆れた顔をして見せ、綾は肩を落とした。
「すまないな」
「いいよ。俺も、お姫さんともう少し一緒にいたいしさ」
 久しぶりだもんね、と同じ目線の少女に笑いかけながら、葵の去った方向へ足を進めた。
 綾は介三郎と並び、少し見上げる形で二人の他愛のない会話に口を挟む。
 それをただ眺めていた一群に、ふと少女が介三郎の肩越しに顔を上げて小さな手を振った。
 確たる保護者が傍にいて少し安心したのか、表情は柔らかい。先ほど見せた拒絶を詫びているようにも見えた。
 藤也と卓馬は軽く片手を振り、愛美は無言で見つめ、梶原は一瞥すると背を向けた。


 予鈴が鳴る。
 綾と介三郎は、午後の授業は遅刻だろう。
 そんなことを考えながら、愛美はふいに立ち尽くしてしまった。
 藤也は梶原の背を追うように遠ざかったが、卓馬が気付いて振り返った。
「どうかした、成瀬」
 柔らかい口調と真っ直ぐな視線で、愛美の答えを待っている。
 愛美は苦笑で俯いた。
「なんでもないわ、卓馬くん」
「介三郎の心配?」
 間髪入れず次の質問を投げて、また、待つ。
 愛美は少し困って、問い返す。
「卓馬くんは、介三郎くんと中等部から一緒よね。中等部の時の介三郎くんと綾って、どうだったの」
「どうって・・・、それって、ヤキモチ?」
 茶化すような語尾がすべった感じになり、卓馬は真面目な顔を作りながら、あっけらかんと言った。
「あの二人なら、変わらないよ。あのまんま」
 愛美の遥か後方、すでに姿はない二人の背を指さした。
「綾はマイペースで傍若無人だけど、考えてないわけじゃない。介三郎は、多分無防備に、それに合わせてる」
 それでずっと続いているのだと、卓馬は言い切ると、
「で、成瀬はどうなの」
 一転、いたずらっ子が見え隠れするような軽い口調でそう問う卓馬が、愛美を興味深そうに覗き込んだ。
「介三郎を、どう思ってるの?」
「どうって・・・」
「介三郎の気持ちは気になるみたいだけど、成瀬は介三郎の傍にいてどうなの」
 愛美はたじろいだ。
 即座に答えが出てこない。
 その表情を確認しながら、卓馬が笑った。
「成瀬は、俺が家を出たのは知ってるよね」
 卓馬はこの春、家を出た。
 卓馬の両親はかなり以前から仲が悪く、とうとう離婚が決定的となった時、たった一人の息子をどちらも引き取らないと言った。
 荒れた時期もあり、入学して間もない高等部を退学せざるを得ないという話まで出た時、一人の女性と出会った。
「冴子さんと一緒に住んでるのよね」
「うん、そう。聞きたい? あんなことやこんなこととか—―」
 促すように教室棟へ一歩踏み出す卓馬につられるように、愛美も歩き始めた。
 都築冴子のことは、介三郎から聞いていた。
 一人っ子で他に頼る親類もいない卓馬に、ルームシェアを提案してくれたという。そこへ行きつくまでには色々とあったが、その経緯については、また別の話である。
 二人がどういう関係か気にならないとは言えないが、介三郎からは「卓馬が安心できる場所ならいいんだ」としか聞いてはいない。
「え・・・と」
「冴子さんは気を遣ってくれるよ。俺の親がどんなだったか知ってるからかな。でも、俺さ、ずっと一緒にいると何だか辛くて苦しくなって、息が詰まるんだ」
「?」
「俺、あんまり人に好かれた記憶がなくって、ずっと一緒にいると居心地が悪くなる。だから、やっぱたまに介三郎んち行くんだ」
 あいつの家は来るもの拒まずだから、と卓馬は続ける。
「俺は、中等部の頃はすでに家に居場所がなくて、毎日のように夜、街をフラフラしてた。介三郎が見かねて、毎日のように夕食と寝床を用意してくれてた。介三郎は、そういうヤツだよ」
 誰に対しても変わらない。
「多分、介三郎は『楽』なんだよ」
 卓馬が空を仰ぐように一つ伸びをして、言った。
「楽・・・?」
「マドンナも綾も、多分、楽なんだよ。介は、人が好過ぎるんだ。誰に対しても同じ。でもそれって恋愛とかじゃないと思うよ。成瀬は介三郎の一番だと思うけど、それじゃ駄目なのかな」
 そう言い切る卓馬に、愛美は釈然としないものを感じた。
「一番だって思えない」
 どう見ても、自分の存在が介三郎の一番とは言い難い。
 あからさまな拒絶に似た反応に、卓馬は少し肩をすくめ、大きくため息をつく。
「そりゃ、・・・なんだろうね。俺は、あいつが『好きだ』って女が、あいつの傍にいてくれればいいよ。でないと、俺が困るっしょ」
「困らないでしょ」
「いや、困るよ。しょげた介三郎は、鬱陶しいから。見たことないだろ、成瀬は」
「・・・・・・」
「そりゃそうだ。成瀬といる時は、嬉しくて舞い上がってる状態だから、ショゲ野郎の介三郎は知らないだろうね」
 本当に鬱陶しいぞと、意地悪い笑いを見せて、愛美を後ずさりさせると、一転カラカラと笑って天を仰いだ。
「俺はどうしても介三郎サイドで考えてしまうから、成瀬の気持ちを理解できないかもだけど、介三郎みたいに、ただそこにいてくれるだけで楽なヤツってそういないから。あんまりイジメないでいてくれるかな」
「・・・イジメてなんか・・・」
 愛美は不本意な顔を見せて、卓馬を睨んだ。
 卓馬は言い過ぎたと謝るように、片手で拝む仕草を見せ、
「成瀬がヤキモチやいてたって、介三郎に言っておいてあげるから、それで許してね」
「そんなこと、言わなくてもいいわよ」
 赤面して、言ったらただでは済まさないと喚く愛美を尻目に、卓馬は口笛を吹きながら、とっとと教室棟へと向かった。

   シューティング・ハート
             ~彼は誰時(カワタレトキ) Ⅳ 射干玉の髪の姫君2



 鷹沢邸の車止めに、ベンツが止まる。
 いつものように伊集院に出迎えられ、車を降りた綾は、伊集院の後ろに控えている和服の婦人に視線を止めた。
「千住院、どうしたのだ。何事かあったのか」
 年の頃は五十がらみだろうか。
 すっきりと和服を着こなし、多めの髪をゆったりと後ろで結って姿勢よく端然と立っているその女性の一歩前で、伊集院が恭しく一礼する。
「お嬢様、お帰りなさいませ」
 いつにない圧迫感のある出迎えに、綾が瞬きをして小首を傾げる。
「伊集院、今、帰った。・・・他に言い忘れていることがあるか」
「いいえ」
「伊集院さんは、意地悪をしているだけですよ、お嬢様」
 千住院は楽しそうにコロコロと声を出して笑い、伊集院の横に立った。
 千住院は元々鷹沢士音付きのメイドだった。綾が生まれる以前より士音に従い、この屋敷で女中頭を務め、今はひっそりと生活する士音の実母の元にいる。
 伊集院とは同じ年頃で、お互い独身を貫いている。
 綾は、この二人が中心となってこの屋敷を切り盛りしている中で育ったのだ。
「お嬢様がお帰りと聞いて、お待ちしておりました。姫様にもご挨拶致しましたが、大きくなられ、お元気そうで何よりです。お嬢様」
 千住院はどこか言い含めるように、安心させるように柔らかい口調の中にも芯のある確かさで、視線を上げて真っ直ぐ見つめた。
「今日は大変でございましたね。生きた心地がしなかったのではありませんか」
「そうだな。時々驚かされるよ、小さな子には」
 綾は苦笑すると、伊集院が恭しく首を垂れた。
「お嬢様は、『おとなしすぎる』お子様でしたので」
「そうですね、私たちが皆で心配するくらい、静かなお子様でしたね」
 千住院が同調する。
「私の小さい頃のことは、さっさと忘れていいぞ、二人とも」
 綾はそれ以上昔話が続かないように遮った。
 吉野ら数名のメイドが、目を丸くして聞いている。
「大奥様より、旦那様にお届け物をお持ちしました。本当に、お顔を拝見でき、嬉しゅうございました、お嬢様」
 すぐに戻らなくてはいけないのだと伝えると、綾は少し低い位置のふっくらとした肩に暫し額を預けて大きく呼吸した。
 千住院は細身の背を覆う長い髪を大事そうに撫でた後、ポンポンと励ますように背中を叩く。
「何事もなく、よろしゅうございました。本当に、何事もなかったのなら、それで良かったのです。お嬢様」
 諭すような口調で小さく、静かに語りかける千住院の言葉に納得したように、綾は頭を上げて千住院の顔を見つめ、
「おまえには敵わないよ、千住院」
 と、恥ずかしそうに苦笑すると、傍の伊集院を仰いだ。
「おまえもな、伊集院」
 そのまま千住院を見送ると、傍の伊集院に少女の所在を問うた。
「姫様は、旦那様の所です」
 と答えが返る。
「父上の? 珍しいな」
 上着を傍にいる吉野に任せながら、綾は眼鏡の奥で目を丸くした。
「葵と一緒にとの仰せでしたので、おそらく今日の件かと・・・」
 伊集院が苦笑交じりに伝えると、綾も肩の力を抜くようにして落とし、廊下の端に現れた小さな姿に大きく息をついた。
 後ろからお小言のおさらいをするように何かを繰り返している近江から隠れるように、首をすくめて歩いてくる少女が、綾に気付いた。
「本当に、大事もなく、何よりでした」
 伊集院が安堵の呟きを漏らす。
「そうだな・・・」
 綾の名を呼びながら全速力で向かって来る少女に両手を広げて受け止めると、綾は怒ったような顔を見せる。
「時にはお説教も良いだろう」
 まとわりついてくる少女の頭を撫でながら、追ってきた近江に視線を向けると、こちらは疲れ切ったような顔を見せる。
「お聞きした時には、近江も肝が冷えました。本当に、何かあってからでは遅いのですよ、姫様」
 近江が、綾への礼もそこそこに、続きの小言を述べる。
 少女は綾の身体に隠れるようにして、困った顔を見せながらも、神妙に聞いている。
 怒られるのはもちろん好きではないだろうが、それでも自分を心配してくれているのは分かっているようだ。
 延々と続く近江の小言が一区切りついた所で、伊集院が口を挟む。
「葵は?」
 一緒に主の元へ行ったはずの影が戻らない。
 近江が、来た方向振り返る。
「まだ、旦那様の所だと思います。旦那様が、粟根様のことをお訊ねでした」
「粟根、というと・・・」
 しがみついてくる少女をあしらいながら、綾が問う。
「はい、葵の父親です」
 伊集院が答える。
「今は、三家の合同会社に出向という形で出ておられます」
 長く鷹沢士音の腹心であることは、綾も聞いている。
「粟根は三家の元にいるのか――」
 何か思い返すように言葉を沈め、綾は記憶にある『三家』のそれぞれを脳裏に浮かべては消していった。
 たどれば鷹沢とも縁戚関係にある三つの家。
 その関係は、最悪だ。
 そんな会社へ出向などと、さぞ気を遣う役目だろうと綾は密かに思いながら、傍らの少女を見下ろすと、『三家』と聞いたからか、表情を硬くして綾の身にしがみつく。
「粟根様は御前のパーティには出席できないと、先日連絡が入りましたので、様子をお聞きなのでは」
「粟根様の奥様も、いつかの折に体調が悪く入院していると聞いております。葵も心配でしょう」
 葵は親元で生活している。多忙な父と病気がちな母のことを思えば、何かと気掛かりなことでもあるのだろうか。
 その手に艶やかな黒髪が触れ、綾は視線を落とした。
「姫、大丈夫だ。安心しなさい」
 柔らかい口調で背中を引き寄せて撫でてやると、少し気を緩めて小さくうなずく。
 伊集院も近江も、無言で小さな姫君の様子を見守った。
 気付いたのは、綾だった。
 いつの間にか、すぐ傍まで葵が戻っていた。
 綾と姫君に深々と礼をして、一言、
「申し訳ありませんでした」
 と、謝った。
 少し顔色が悪い。
「すまなかった、葵。この子の勝手で、お前に迷惑をかけてしまった」
 綾が礼を返す。
「ごめんなさい」
 頭を下げる綾を見上げ、同じように葵に向かって少女がお辞儀をする。
「おじ上さまに言われたように、これから気を付けます」
 刷り込みなのか、幼いながらそう付け足す少女に、葵が一層頭を下げる。
「葵も、姫様から離れてしまったのが良くなかったのです。二度と、お傍を離れないようにいたします」
「はい、お願いします」
 少し明るい口調が戻り、少女が笑顔を見せると、綾は葵に問いかけた。
 姫の言う『誰かの視線』の話だ。
「遠足の間、誰か気になる者はいたのか?」
 今日、幼稚舎は遠足だった。
 いつもとは違い、園外に出ている。慣れない風景に過敏になり、些細なことが気になっただけなのかとも考えられる。
 葵は記憶をたどるようにして、答えた。
「特に、思い当たることはありませんでした」
 暫しその場であれこれと思案したが、答えはでない。
 綾もまた、無言で思いを巡らせた。考えられるだけの手がかりを抽出するように暫くそのまま立ち尽くしたが、何も思い浮かばない。
「ところで葵、旦那様が粟根様の心配をされていましたが、お父上はお元気ですか。最近はお屋敷に来られることもなく、また楽しいお話を伺いたいものです」
 変わりはないかと問う近江が、葵を見た。
 粟根は、以前はよくこの屋敷にも顔を見せていた。
 近江たちのように屋敷に仕える者たちにも分け隔てなく笑顔を向け、仕事で訪れる外国の話などを面白おかしく語ってくれたものだ。
「お母様の様子はどうですか?」
 伊集院が口を挟む。
「父のことも、母のことも、旦那様や皆様に気を遣っていただいて、申し訳なく思っています」
 葵は頭を下げる。
 母親はつい最近自宅に戻って療養しているという。
「父が忙しいのは今に始まったことではありませんし、母は無理をしなければ生活に差し支えないと医師から言われましたので、心配ないのです」
 葵はそう説明した。
「だが、病み上がりであれば、気を付けることも色々あるだろう」
 何かあれば言うように、と綾は続け、重ねて週末のパーティでの少女の護衛を頼み、気を付けて帰るよう伝えると、綾は少女を抱き上げて廊下を歩き始めた。
「はっきりしないというのは、気味の悪いことでございますね。お嬢様」
 伊集院が後方から付き従う。
 近江は少女の部屋を整えるために、先に行ったのだろう。
 途中、廊下の端に蛍が控えていた。
「あれから周囲を調べてみましたが、特に怪しい者は見当たりませんでした」
 学内も学外も、そして少女が遠足で歩いた周囲もくまなく探してみたが、怪しい様子はなかった。
「そうか」
 一言そう呟いて、腕に抱いている少女の背中を撫でる。
 小さな子の呼吸や上下する胸の鼓動を感じながら、綾は一心に考えた。
 誰かが、見ている――。小さな子は、確かにそう言った。
「綾、あの人は、誰?」
 不意に問われて、立ち止まった。
「すまない、姫。聞いていなかった」
 苦笑で謝りながら間近にある少女の顔を見ると、少し困った顔で少女が繰り返す。
「今日、介三郎と一緒にいた男の人は、誰?」
「男?」
 誰のことか分からず、綾が問い直す。
 伊集院も立ち止まり、二人の会話を見つめていた。
 蛍は脇に控えていた。
 あの場にいた男と言えば、今泉藤也と巽卓馬、そして――。
 少女は思い出すように、視線を天井に向けながら言う。
「介三郎と同じくらい背が高くて――」
「卓馬さんでしょうか」
 敢えて蛍は卓馬の名前を出した。
 藤也は綾や蛍と身長はあまり変わらない。明らかに介三郎と身長を比べる程はない。
 介三郎と同じくらいの身長であれば、卓馬よりも――。
「姫、大きな目の巻き毛か?」
 半ば視線を落とし、巽卓馬の容姿の特徴を並べて問う綾に、少女は首を横に振った。
「違うわ。もう一人、少し離れて立っていた人」
 綾の言う『大きな巻き毛』の横に立ち、ずっと怖い顔で眺めていた人が、立ち去る一瞬少し口元を緩ませて遠い視線で見送ってくれたのだという。
 梶原常史のことだ。
 何のことか分からない様子で蛍に視線で質問している伊集院に、微かに視線を伏せて苦しい表情を見せ、蛍は女主人の反応を、身を詰めて感じた。
「その者が・・・どうしたのだ」
 綾は、感情のない口調でそう受けると、少女は眠そうにその肩に額を付けて、答えた。
「その人、守弘と同じ眼をしてたわ」
 その言葉には、おそらく何の意味もないのだろう。
 ただ、小さな子が思ったことを言葉にしただけだろう。
 それだけのことだ。
 綾は、少女に回した腕に力を入れて抱き寄せ、小さく息をついた。
「――そうか」
「お嬢様、何か心配事でも――」
 心配顔で声を掛けた執事に、綾は、なんでもないと声にならない声で答え、困ったような微笑を浮かべてまた歩き出した。

シューティング・ハート  ~彼は誰時(カワタレトキ) Ⅳ 射干玉の髪の姫君

シューティング・ハート  ~彼は誰時(カワタレトキ) Ⅳ 射干玉の髪の姫君

  • 小説
  • 短編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-02-05

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