痺れる

Enter(エンター)キーが壊れちまった ああ 電卓も壊れちまった みんなみんな 壊れちまったのサ 天を(あお)いで2秒間 白紙になるには充分だったね 背中を(ねら)われてるような 犀利(さいり)な視線で手が麻痺(まひ)してるよ 瞼の裏で子葉に(かえ)れば そこには窪地(くぼち)(ひろ)がっていて 星に助けを求めてみても ほかの星と喧嘩(けんか)中らしい 喧嘩(けんか)相手すらおれにはいない こんなひっきりなしの弧寂(こじゃく)のなかで よくもまあ枯れずに 枯らされずに 拍動(はくどう)つづけて こられたナ 空を見てみろ 海を見てみろ 喧嘩(けんか)ができるなんて 贅沢(ぜいたく)なもんだろ 視界がフリーズしてるって? Esc(エスケープ)キー押しても無駄だよ ()うの昔に壊されてるぜ 自分で解凍(かいとう)していきナ 足跡()って根を張りナ ベルトは次々壊れていくから 壊れていくけど 嗤うなよ 嗤っていいのは麻痺(まひ)した手だけサ 如雨露(じょうろ)が戻ってくる前に スペースキーに 擬態(ぎたい)しナ

痺れる

痺れる

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-02-04

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