身体、ふたつ
現実がなかった。風はあったかもしれない。草が揺れていただろうか。草はあっただろうか。でもあの時、わたしが、なかった。川沿いの夕暮れ。陽射しはあっただろうか。ひとがいなかった。わたしもまたいなかった。数行。訃報。文字がわたしたちとは思えなかった。意識。歩いていたことのみの身体。召された身体。
身体が、ふたつ、なかった。
身体、ふたつ
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