孫に

 私たち家族はコウノトリから二人目の孫を授かった。もう生まれて半年になる。今度は男の子である。孫というものは一般的に世のおじいちゃん、おばあちゃんにとって可愛いものだが、私も妻もご多分に漏れず二人の孫が可愛くて仕方がない。息子達が孫を連れてやって来ると私はとても幸せな気分になる。一人目の孫は女の子で小学校の高学年になるが、年ごとにしっかりした子に育ってきた。二人目はハイハイを上手にクリアしたから、近頃は二足歩行に進みたいらしい。しかし自主トレは危なくて目が離せない。私は息子たちそれぞれが可愛い良い子にめぐまれてよかったと満足している。                  
 私は孫達といっぱい遊びたかった。残念だがALSという悪い病気にかかったので、手足を使って自由に遊ぶことが出来ない。だから私はクリスマス、お正月、孫の誕生日などに家族全員が集まってパーティーを開くのを特別に楽しみにしている。少し離れたソファーからみんなの様子を見ている事しかできないけれど、私は幸せだ。
さて、私はもう長くは生きられないから、二人の孫に話したかった事をここに書いておこうと思う。それなりに成長したら読んでみてください。
先ず、今の社会はさまざまな事故が起こる。二人とも事故に遭わないで元気に育つて欲しい。
次に、Мちゃんはパパ、ママに似て思いやりがあり、優しい子に育ってきた。読書、運動、お手伝いもする良い子だ。ママには英語、ピアノを習いに連れていって貰う。お絵かきや工作も好きだ。英会話は世界中にお友達ができるし、ピアノの美しい曲は聞く人をうっとりとさせ、お絵かきや工作はなにか新しい発想を生みだす。なんと素晴らしいことではないか。私はこれらをとても良いことだと思っている。
パパと遊んだのも良かった。海、山、公園。バトミントン、キックボクシング、自転車、マラソン、車中泊ドライブ旅行。釣り、スキー、温泉、デズニーランド。これらもとてもいいことだ。パパは面白い事をするから最高だ。    
Мちゃんに沢山の思い出と夢をくれたパパ、ママにいつかありがとうと言いたいね。
こんどは私がМちゃんに「ありがとう」と言いたい。Мちゃんは小さい頃からいっぱい私と遊んでくれたから。そして私は可愛いМちゃんと遊んで楽しかったから。私はとても幸せだった。ありがとう。
 私はRちゃんとは会ったばかり。まだ一年もたたない。私は自分がまだ生きているうちにRちゃんに会えて良かったと思っている。Rちゃんを見ていると私は良い予感がする。二足歩行の成功はまだ先のようだけれど楽しそうに繰り返す。ニコニコしながら。その表情はパパ、ママのどちらにも似ている。きっといい子に育つに違いない。
Rちゃんは大きくなってもパパ、ママのようにありのままの自分を認め、ありのままの自分を慈しむ人間になって欲しい。
 それからついでに二人に話したいが、世の中には暴力を振るうこと、いじめること、噓をつくことなど人間としてやってはいけないことが沢山有る。これらは人に迷惑をかける。МちゃんとRちゃんは賢いから「ならぬことはならぬ」の意味は分かると思うが、これは武士の子弟が守った掟だった。            
               2020年2月4日

孫に