風を切る
放課後だけが人間だった
17歳
自転車を漕いでいた
毎日 毎日 目的地もなく
風は感情で
身体から這入ることもあれば
心臓から吹くこともある
扁桃体に命令する
不安にならないやつは優しくなれないと
喉の真下に落葉松を
感覚器官に防波堤を
風の悪戯に負けないように
必死に自転車を漕いでいた
風に呑み込まれぬように
自分が風にならないように
必死に自転車を漕いでいた
17歳の夏
風を切る
放課後だけが人間だった
17歳
自転車を漕いでいた
毎日 毎日 目的地もなく
風は感情で
身体から這入ることもあれば
心臓から吹くこともある
扁桃体に命令する
不安にならないやつは優しくなれないと
喉の真下に落葉松を
感覚器官に防波堤を
風の悪戯に負けないように
必死に自転車を漕いでいた
風に呑み込まれぬように
自分が風にならないように
必死に自転車を漕いでいた
17歳の夏
風を切る