少年の音


ありふれたおまじない

僕達の失くした子供時代

重ね合わせた指先の感覚を

僕達はもう覚えていない

割れた中古のレコード





鳴らない





二人で裏面に名前を書き合い

狂った円盤は僕達の音を奏でた

指先で描いた名前が溝を埋めたから

この音は世界に一枚の音だった

君は覚えているかい?いや。




レコードの破片が大人になった指先を切った。

少年の音

少年の音

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-02-01

Copyrighted
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