バレンタインの詩
長い靴下を履いているから
せめて指で触れさせてよ
チョコが溶けた後に肌が見えて
ポッキーが折れても支え合える
2月14日の鏡に書いた
愛の言葉は逆さまの告白
例えば足のギプスになって
あなたとひとつだけの身体で
山に倒れて獣になろう
餌は無いけれど目の前にある
野生の臭いが充満するほど
汗のしずくはいちばん好きだ
雪割草が咲き始めるまで
誰かの踵の下に住む空へ
数十キロのバーベルを上げて
春の入り口を開く時間に
生徒達の駆け抜けていく影が
人見知りするように消えた
バレンタインの詩