あなたの声が。

あなたの声が聞こえる。
何処かから。何処?近く。いや、
何処からなのか分からない。
けれど感覚が察知している。
あなたの声が聞こえる。
確かに、聞こえる。
あなたの声は、遠くなる。
遠くなり、近くなったりする。
けれども、私はおどおどとする。
頼りなくふらついて、
あなたの姿を見失う。
周りを見回してみても、
あなたの姿は・・・・・・・、いた。
確かな輪郭線を持って、
私と数十メートルの距離を置いて、
直立している。
あなたは、何ですか?
誰なんですか?
どんな理由があって、
私の前に現れたのですか。
どんな役割を担って、
私の前に現れたのですか。
そしてどんな過程を経て、
私の前から姿を消すのですか?
如何なる人間関係にも、
必ず別れがある。
ならばこの人間関係には、
どのような終結が待ち受けているのでしょう?
離れ離れになりたくない。私は。
どんな人間関係とも、終わりたくない。
哀しみたくない。辛くなりたくない。
離れ離れは、怖いですか?・・・・いいえ。
ただ、あなたを知りたいだけなんです。


誰なのか。
あなたは誰なのか。
私にとっての誰なのか。
誰かにとっての誰なのか。
世の中は巡っているのか、どのようにして。
生き物は繋がっているのか、どのように。
私は、知りたい。
真実を知りたい。
虚無は要らない。要るなら、消えたい。
痛みを伴っても。

痛みを伴っても。

あなたの声が。

あなたの声が。

人と人とが繋がることって、どういうことだろう。 信頼する、ってどういうことだろう。 そんなことを考えていたら、この文章に辿り着きました。 読んで頂けると、幸いです。

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-10-31

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted