臥して尚、蒼

あなたの傷になれないのなら 嫌われたくて仕方がないよ 躁鬱病と炭酸リチウム 心の口がひらく 「ことばの拒食症に罹りました」 嘘をついたわたしだけが この傷を独占できるとしたら 世界は少し わたしに見る目があるかもね 果てしなくつづくオパールの空も いまの眼鏡じゃ鉄さびの赤 頓服はもうありません 周期表の水素のように この寂寞はわたしだけのもの 月を隠す雲をずっと嫌っていたけれど いまなら雲の感情もわかる気がする ずっと入院したかったんだ 迎えにいくのが遅れてごめんね うぐいすの声を遮断して 春を殺すのも厭わないから ありったけの孤独をありがとう 麻酔の準備ができました

臥して尚、蒼

臥して尚、蒼

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-01-24

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