臥して尚、蒼
あなたの傷になれないのなら 嫌われたくて仕方がないよ 躁鬱病と炭酸リチウム 心の口がひらく 「ことばの拒食症に罹りました」 嘘をついたわたしだけが この傷を独占できるとしたら 世界は少し わたしに見る目があるかもね 果てしなくつづくオパールの空も いまの眼鏡じゃ鉄さびの赤 頓服はもうありません 周期表の水素のように この寂寞はわたしだけのもの 月を隠す雲をずっと嫌っていたけれど いまなら雲の感情もわかる気がする ずっと入院したかったんだ 迎えにいくのが遅れてごめんね うぐいすの声を遮断して 春を殺すのも厭わないから ありったけの孤独をありがとう 麻酔の準備ができました
臥して尚、蒼