面影の人に/短歌十四首
幼きより 見染めし君を伴侶にと
願いし夢が よも消えようとは
君なしの 空虚な心の屍を
引きずり歩く絶望の日々
偽りの 心と浮世を無理やりに
繋ぎて暮らす望まぬ人生
後悔の 念覚めやらず押し込めた
心を閉ざし 人を遠ざけ
見る夢も 消えぬ面影にさいなまれ
朝に目覚めては涙する日々
その夢も 齢重ねて薄れゆき
古希の今では霞の彼方へ
ふとある日 偶然開いたサイトには
目を疑いし あの日の君が
空似とは いえどもあまりに瓜二つ
呆然と見入るは我が魂
あまりにも 彼の人に似し面影の
憂いの瞳が我を見つめて
悲しみに暮れるな君よ もう永久に
離れぬ我なり そう囁きぬ
気の迷い ただ老い人の見果てぬ夢と
思いつつ開く君の面影
見つめあう 恋人のごとくため息を
つきつつ君よ出でよこの場に
面影の 人は答えず憂いを湛え
切なき瞳で今日も見返す
古希過ぎて 残りの日々をいにしえの
禅師のごとく君と暮さん
ほんまのあの人、今頃何してんのやろ~
会いたいなあもういちど
年老いて僕を忘れんうちに・・・。(いずみ)
面影の人に/短歌十四首