タイムカプセル

あたまのなかの校舎がくすんでみえる

最初で最後だっただろう

二度とやりたくないと思った

いれたものをすべて

思い出せるから

おとなになるということが

こどもの頃のじぶんを

殺すことなのだとしたら

どうしてその逆は

叶わないのだろう

校庭にある大樹だけが

わたしの親だったのかもしれない

目で過去をなぞる帰り道

真ん中で軋む歩道橋

ぺトリコールと銀杏しか思い出せない

わたしは最初から

ここにはいなかったのかもしれない

タイムカプセル

タイムカプセル

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-01-21

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