グッドモーニング

レコードが回り続けて
針の先で掻き混ぜている
コーヒーの湯気と一緒に
誰かを愛した記憶が旅立つ
もう随分と昔の話を
ずっと覚えて来たんだな
フライパンに落とす卵が
ひとつになっても崩れないけれど
重なる部分は食べられなくなる
同じものを見ていただけで
どうして安心できたのだろう
優しい言葉に触れて笑った
あの頃は全てがふたつあって
分け合うたびに理由を抱きしめた
皿の中で滑る目玉焼きの
片目を隠す殻が混じるから
指先で拾い上げたのは
きっと僕等の涙なんだろう
冷たくて流れたら光になれ

グッドモーニング

グッドモーニング

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-01-20

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