君
「君っていつもそううだよね。君っていつも、そうやって私の言う事聞かずに、自分がいいと思うことを、押し通すよね。」
長い沈黙が通り過ぎていく。彼の中での私はなんなんだろうか、彼の中で怒りや悲しみは起きるとなくなってしまう。彼の中で私は記憶に過ぎないのかな、今は依存してる、ただ一瞬の、よくいう、あの、気の迷いってやつとおなじなのかな。
「ねえ、聞いてるの?聞こえてる?もしもし?」
ずっと、電波が悪い。そう、ずっと最近電波が悪いよね。近頃ほんとうひもうずっと。
もうすぐ記念日だよ?わたしたち、つきあって5ヶ月になるねぇ。でも聞いてね、わたし、あなたとまだ痛いと思うんだよ。あなたが好きで、あなたじゃないとダメだと思うの。だからね、私ってば今ね。
「ねぇ!また?またなの?」
「ごめん。」
そういったのが最後だった。そのまま電話は切れて、彼女はひとり、慌ててトークをくりひろげる。
あの子の言うことはいつもわがままで、面倒で、嫌な子だった。僕はもっと、違う面をすきになったんだろうなって思った。この子がきっと、作り上げてた、僕の前用のこの子が好きで、僕の中ではもうその子は今存在していない気がしてるんだ。
もう僕のすきな君はいないんだ。
[ごめん]
ぼくは少し間を開けて送った。
すぐ返信が来たけど、ぼくは疲れていたから、みなかったことにした。彼女に対していらいらすることが増えた。ぼくは知っていた。彼女が別れた方がいいって言うのは、彼女のためじゃなく、ぼくのためだってこと。ぼくは、ぼくは別れたいのかな、そう言う疑問がさいきん離せなくて、笑っちゃうよね。
数日たった。
彼女からのLINEがとだえた。
すると、葉書が送られてきた。
そこにはいちばんみたくなかったはずの事実が描かれていた。もう消すことのできない事実で、元に戻せるものでもなく、ただ、書かれていた。
ふしぎとぼくはなにも思わなかった。
ぼくは彼女が好きじゃなかったんだなと思った。
僕はそうだったんだなって思った。
拝啓 大好きな人へ
今までありがとうございました。何度も私が私を終えようとするのを止めてくださったこと、とても嬉しく思いました。しかし、本日止めていただくことが不可能となったため、私は私自身で自分を終わらせるという行為に励むことに致しました。
あなたが大好きでした。愛しておりました。
でも私だけだったようなのです。
ひどく、申し訳ないと思っております。
昨日お話したでしょう?あなたが眠ったあとわたし、死んでしまおうかと思いました。だってわたしがいることであなたの邪魔をしているのに変わらないことに気付いてしまってくるしくって。
あなたがなりたいあなたになってね。わたしは、あなたがどうあろうとすきです。どうか本当に大事にしたい人が現れたときはしっかり止めてあげてください。
わたしもその人になりたかったですね、
ではこのへんで失礼いたします。
かぜ、ひかないでくださいね。
あと、あなたはとっても素敵な人なので、自分をもっと誇りにもってください。
君